函館でも葬儀の簡素化進む
update 2013/11/7 10:04
都市部を中心に進んでいる葬儀の簡素化や少人数化が、函館市内でも表れている。新聞などに告知せず身内だけで済ませる家族葬や密葬、葬式をしないで火葬をする直葬など、多様な形態があり、小規模な葬儀に対応したホールのオープンや改築も進んでいる。
市内の葬祭場によると、家族葬の明確な定義はないが、多くて50人、おおむね30人以下、参列者は故人のきょうだいから孫が範囲のようだ。これにごく親しい知人が加わる場合もある。少人数化は年々進み、市内の小〜中規模な葬祭場では全体の7〜8割が家族葬や密葬、直葬との声が多い。
簡素化が進む背景として▽経済的理由▽故人の希望▽宗教儀礼に対する意識の変化▽人間関係の希薄化▽互いの負担になることを避けたい|などさまざま。
市内でも地域によって違いがある。青雲葬祭は、拠点を置く恵山地区では寺院や地域会館で100人規模の葬儀が依然多いが、旧市内では30人ほどの家族葬が多いという。同社は昨年7月、戸倉町160に「ファミリーホール戸倉」をオープン。「家族葬だけで半分以上、これに直葬が加わる。通常の葬儀でも弔電が減るなど、簡素化が進んでいる」と野呂昌人社長(48)は語る。
小田桐葬儀社も一昨年12月、若松町23に家族向け小規模ホール「セレモニーハウス桐花」をオープンさせた。東京や札幌などで進む簡素化の流れは函館でもここ数年で顕著といい、時代のニーズをみての整備。
小田桐弘晃社長(41)は「家族葬は親族だけで気兼ねなく行えるのがメリット。ただ、親しい人が『なぜ知らせてくれなかったのか』と後日訪れ、かえって気を使うケースもある。そうしたこともお伝えし、希望に沿った葬儀を提案している」と語る。
赤坂葬祭も今年3月、田家町5の赤坂中央斎場に小規模な家族ホールを改装整備した。赤坂成二社長(62)は「函館は喪主を務める息子さんが本州や市外に出ている場合が多く、時間的に余裕がなく、早く簡素に済ませたいという声も多い」と説明し、「こうした流れは景気が回復しても続くのではないか」とみる。
葬儀の簡素化について市内のある住職は「仏さまやお骨を粗末に扱うことをしない限り、私どもはこうしなさいとは言えない。故人と別れる際の心の持ち方を私たちがどう伝えるかが、今まで以上に重要視されてきているのではないか」と話している。
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