脱線事故1カ月 JRの不振なお強く

update 2013/10/19 10:06


 JR函館線大沼駅構内で発生した貨物列車脱線事故から19日で1カ月になる。この間、線路異常の放置をはじめとするJR北海道の不祥事やトラブル続発を受け、国が特別保安監査に入って組織の内部に切り込んだ。函館・道南では、JRへの不信感が根強く残る一方で、早急な信頼回復を求める声が強い。

 原因究明の過程で、線路幅が社内基準値を超えていたにもかかわらず、長期間放置していたことが発覚。異常個所は当初、計267カ所だった。

 ずさんな体質を重く見た国土交通省は、鉄道事業法に基づく特別保安監査に入り、本社や函館支社、大沼保線管理室などで保線管理の実態を調査。監査終了を1日延期する異常事態となった。今月4日には、異常個所が3カ所増えて計270カ所となり、同日JRに対し改善指示が出された。 さらに劣化しやすい木製枕木の使用問題や、札幌―網走間を走行する特急オホーツクがATS(自動列車停止装置)が作動しないまま運行していた問題も判明。同省は今月9〜12日に追加の特別保安監査を行った。

 抜本的な改革案を打ち出すことが急務となり、JR東日本から役員クラスの人材を投入される見込みも強まった。

 しかし、再生への道は険しい。大沼国定公園で遊覧船を運航する大沼合同遊船の小泉真社長は、線路異常の放置について「我々で言えば、船に穴が開いているのに修理しないようなもの。分かっていてやらないのはあり得ない」と問題の根深さを指摘する。

 一方で、JRは観光にとって頼みの綱だ。大沼公園駅前でレストランや貸自転車業を営むフレンドリーベアの市川剛営業チーフは「JRの利用者はバスツアーと違い、大沼を目的に来てくれる人が多い。これから紅葉が見ごろを迎えるので、JRには何とか頑張ってほしい」と願う。

 旭川市の主婦(56)は「運転の負担がなく、要する時間も短いJRは移動手段として上位にある。もう何事も起きないことを願うだけ」。東京の会社員(54)は「東京では電車は最も安心できる乗り物であり、相次ぐ失態は信じられない。北海道には欠かせない交通機関なので、早く信頼を取り戻して」と話す。

 函館朝市協同組合連合会の井上敏廣理事長は「1日も早くお客が安心して利用できる態勢を整えてほしい。北海道新幹線の開業効果を見込んで、朝市もイベントなどでお客を迎えたいので、JRもしっかり運行を」と注文する。

提供 - 函館新聞社


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