旧ロシア領事館 歴史薫る…17年ぶり一般公開
update 2013/9/29 10:32
帝政ロシア時代の面影を現在に伝える函館市の景観形成指定建造物「旧ロシア領事館」(船見町16)が28日、17年ぶりに一般公開された。築105年が経過し、老朽化が著しいため、公開は一部範囲にとどめたが午前中だけで300人を超す市民が訪れた。活用方法や修繕方法は決まってはいないが、日露関係史において重要な建物の今後への関心が高まった。
函館の旧ロシア領事館は1858(安政5)年に実行寺内に開設。現存する建物はレンガ造り2階建てで1908(明治41)年に完成。44(昭和19)年までロシア、旧ソ連の領事館として使用された。内部は改装され65〜96年に市の青年研修施設として使用した後、閉鎖された。
今回、建物の保存活用方法を検討しているNPO法人「はこだて街なかプロジェクト」(山内一男理事長)が市に働き掛けて実現。公開に当たり、1階のテラスから函館港や駒ケ岳が見渡せるよう庭木を剪定(せんてい)するなど準備を進めた。
館内では山内理事長(65)が、港を見下ろす場所に立地した理由や現存する意義を解説。参加者は玄関ホールの階段やテラスからの風景を写真に収めるなどしていた。山内理事長は「建物に思い出を持っている方も多く訪れてくれた。建物の傷んだ部分はすぐにでも手を入れないとならない」と話していた。
在札幌ロシア総領事館函館事務所長のイーゴリ・ウスチノフ領事(62)は「多くの人が見学に訪れ、関心の高さに驚いている。日本とロシアの歴史を守る上でも必要な建物。修理にはお金も時間もかかり、総合的な判断が必要だが寄付などの方法もある。工藤寿樹市長とも話をしてみたい」と話していた。
亀田中野町から訪れた庄野定男さん(83)は「いつか中を見てみたいと思っていたが歴史を感じるたたずまいでよかった。ロシアとのかかわりをもっとアピールして補修できれば観光客も喜んでもらえるはず」と話していた。
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