シャーベット氷で魚介類の鮮度 長時間保持
update 2013/6/6 09:52
道立工業技術センター(函館市桔梗町)とニッコー(釧路)の研究グループが、海水シャーベット氷(SI)を使った魚介類の鮮度保持技術を開発した。冷却速度が早く、長時間の鮮度保持が可能なのが特徴。生鮮サンマの台湾への空輸試験の成果は上々で、高鮮度の水産物を遠方の消費者に提供するのに役立ちそうだ。
SIは、海水を零下2・5度程度に冷やした流動性のある氷。同社が開発した「ジェネレータ」という装置で、1時間当たり1トンを製造できる。SI処理すると、破砕氷、海水氷(海水と真水氷を混合したもの)よりも速く魚体温度が下げられる。実験ではサンマの中心温度が25度から0度まで下がる時間は破砕氷120分、海水氷28分、SI17分だった。
また、水揚げ時に魚が暴れると筋肉に乳酸がたまるが、ホッケの乳酸量を調べたところ、もだえ死んだものに比ると、SI処理したものは3分の1に。SIは魚がそれほど暴れずに死ぬため、活締めと同じ効果があるという。
同センターの吉岡武也主任研究員によると、ホッケの鮮度変化を調べた結果、魚が死ぬと低下する筋肉に含まれるエネルギー成分の含量は、もだえ死んだものに比べ、SI処理したものの方が高かった。一方、魚が死ぬと増える指標は、もだえ死んだものより、SI処理したものは低く推移。このため鮮度が良いことが分かった。
SI処理したサケの卵巣は鮮やかな赤色で、サンマの体表側面もきれいな青色が保たれたことから、品質が良いと確認できた。
2011年11月には、SI処理したサンマを釧路空港から桃園空港(台北市)へ発送。水揚げ3日後に現地の日本料理店で刺し身に調理したところ「身が締まって青色もしっかり残っていた」と吉岡さん。魚が死ぬと増える指標は7%で、日本のスーパーで買う場合(17〜19%)より低かった。
吉岡さんは「サンマ輸送はまだビジネスにつながっていないが、SIによる鮮度保持をすれば、これまで食べられなかった地域の消費者に高鮮度の魚介類を届けられる」と話す。昨年から松前沖のマグロ漁でもSIを活用している。
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