マイワシ大漁も複雑 漁具整備に経費 鮮度保持が課題
update 2013/6/1 10:19
【江差】道南では珍しい初夏のマイワシが、江差近海で大量に水揚げされているが、漁師の顔はさえない。サクラマスなどを狙う定置網の網目に魚体が食い込み鮮度保持が難しく、その重みで引き揚げ時の負担になっているためで、「大漁だが素直に喜べない」。一方で「今とれる魚に目を向けて対応すべき」と前向きな声もある。
江差でマイワシがとれ始めたのは5月下旬から。多い日には約1トンの水揚げがあった。町内のベテラン漁師は「網の中でギラギラ光ってこんなにイワシが入ったのは初めて。網から外す作業が大変だ」と話す。
体長は20センチ前後が多く、上ノ国町でも漁があり、同時期のイルカの目撃情報から、「沖合で追われたイワシが岸辺に逃げ込んだ可能性がある」とみる。
ひやま漁協江差支所によると、浜値は1キロ当たり2、3円で「鮮度次第では10倍高くなるが、漁具整備の経費が必要で現実的には難しい」という。ある漁協関係者は「今後イワシの漁が増えた場合、(本州からの)船団の経由地として活用できれば」とする。
独立行政法人水産総合研究センター日本海区水産研究所(新潟県)によると、マイワシの資源は気象条件などに左右され「数十年周期で増減の波が来る」と分析。国の調査では、日本海側の漁獲量は1990年前後の約160万トンをピークに、2000年〜03年に1000トンまで落ち込んだが、11年に4万4000トンに回復。今年は新潟県の巻き網漁が好調で、2月に1600トン、3月1400トンなど日本海側で豊漁に沸いた。
同研究所は「資源増加の兆しはあるが、今後数年の状況が判断材料となる」。日本海側のマイワシの漁獲状況をまとめる、同じく西海区水産研究所(長崎県)は「この時期のマイワシの行方を探る上で、北海道南部で水揚げがあったという情報はとても興味深い」と話している。
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