ノーベル化学賞受賞の鈴木北大名誉教授が講演「努力の積み重ね大事」

update 2013/5/26 10:15


 【厚沢部】2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章北大名誉教授の講演会が25日、町内で行われた。地元の中学生らを前に、研究の醍醐味(だいごみ)を伝え、「何事も努力の積み重ねが大事。将来を担う皆さんに私の思いを伝えたい」と熱弁した。

 講演は、町制施行50周年記念事業で町教委の主催。中高生対象と一般町民向けの2部構成で行われた。

 鈴木さんは、数学が好きで有機物質に興味を抱き、北大で有機化学などを研究。その成果が血圧を下げる薬や抗がん剤などに生かされていることについて「たくさんの人に喜ばれているのが幸い。特許を取れば億万長者だが取らない。食べることに困らず暮らせればいい。大金持ちになるための研究ではなく、自分の好きな道を進んでいければいい」と述べた。

 語学勉強の重要性を説き「特に英語が大事。一夜漬けではなく長く努力してこそ身につく」と強調。ノーベル賞受賞については「もらわないよりはもらったほうがいい」と会場の笑いを誘い、「私と共同研究者、学生、北大でのすべてに感謝している」とした。

 生徒が「先生の人生は成功ですか」と質問すると、「自分のやりたいことをやっている。その意味では成功だと言える」と答えた。

 結びに、「自分の道は最終的に自分で決めなければならない。日本の資源は、付加価値のある医薬や精密機器を生みだす高いサイエンスと知識にある。皆さんの中から何人かがその分野に進んで独創的な仕事で日本の将来を支えてもらえれば」と激励した。

 鶉中3年の森高龍之助君(15)は「化学の難しい話は理解できなかったが、貴重な経験談を聞けて良かった」。館中2年の谷口侑子さん(13)は「努力を重ねて勉強する大切さを教えてもらった」と話していた。

提供 - 函館新聞社


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