「津波で全て流されたわけではない」 南三陸町の後藤さんが講演

update 2013/5/8 10:10


 函館市東川町の本願寺函館別院(西別院)で7日、宮城県南三陸町で東日本大震災の体験を語り継ぐ活動をする後藤一磨さん(65)の講演会があった。後藤さんは津波が押し寄せた当時の様子とその後の避難生活を振り返り、「津波で家も車も失ったが、全て押し流されたわけではない。人と人との絆は残った」と語った。

 渡島、桧山管内にある浄土真宗本願寺派22カ寺の女性代表でつくる函館組仏教婦人会連盟(島田重子会長)が、研修会の講師に後藤さんを招いた。後藤さんは震災後、宮城大学の非常勤職員として働くかたわら、語り部ガイドとして同町を訪れる人たちに震災の様子を伝えている。

 地震発生直後、半世紀以上前のチリ地震津波の記憶がよみがえった後藤さんは、すぐ自宅に戻り、妻と息子とともに高台に登り、難を逃れた。「津波に飲み込まれた集落を見ても夢のようで、まるで実感がわかなかった。自然の大きな力を感じずにいられなかった」と振り返った。

 震災から2年以上が経過。「津波が何を伝えようとしたのかが、ゆっくりと見えてきた」という。「ボランティアやみなさんの温かな支援で人と人との絆を感じることがきでた。海ではカキやワカメが今まで以上に大きく育っており、50年若返ったよう。海から被害を受けたが、希望の海でもある」と語った。

提供 - 函館新聞社


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