ホタテの貝殻で食の安心守る
update 2013/4/12 10:03
噴火湾特産のホタテ貝殻から蛍光体をつくり出す技術を、道立工業技術センター(函館市桔梗町)などの研究チームが開発した。また、貝殻から3色(紫、青、オレンジ)の蛍光体の製造にも成功し、配合比で識別する手法で食品偽装防止に役立てる。未利用水産資源を有効利用する試みとして注目される。
道内のホタテ水揚げ量は全国一の年間約40万dあり、副産物として年に約20万dの貝殻が出る。主成分は炭酸カルシウムで、一部は土壌改良剤などに使われるが、石灰石から作られた製品に比べ価格面で劣る。
そこで、海洋資源を活用して地域産業の振興を図る「函館マリンバイオクラスター」の一環で、同センターや北大、函館高専、公立はこだて未来大、地元企業でつくる研究チームが貝殻の高付加価値化の研究に取り組んだ。
チームは2004年、高温で焼いた貝殻に紫外線を当てると鮮やかに光ることを発見。09年には、貝殻粉末に銅や塩素などのミネラルを添加し、高温で焼くことで紫、青、オレンジの蛍光体を製造する技術を開発した。
この新たな蛍光体について、当初は蛍光灯に応用できないか考えたが、明るさが足りないなどの理由で断念。そこで、発光現象と、カルシウムのサプリメントとして食経験がある強みを生かし、食品偽装防止の活用に向けた応用開発を進めている。
同センターの下野功主任研究員によると、紫外線で光る貝殻製のカルシウム剤を食品に添加または塗布することで、偽装されにくくなる。さらに一歩進めて製造年によって色を変えることで、生産履歴の照合にも活用できるという。例えば、13年製造品に紫、青、オレンジの蛍光体を1対2対3の配合比で新しい色を作って添加。紫外線を当て測定すると、この添加物が1対2対3の割合であることが分かり、製造年を証明できる。
厄介者≠フ貝殻も視点を変えることで、偽装防止やトレーサビリティー(生産履歴管理)に役立つ技術として、特許を11、12年に出願した。
下野さんは「色によって製造年を区別できれば、より安心につながる。実用化に向け、食品会社などに提案していきたい」と話している。
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