吉田さん 全国菓子大博に初出品

update 2013/4/10 10:13


 19日に広島県で開幕する「全国菓子大博覧会(ひろしま菓子博2013)」の工芸菓子部門に、吉田食品(函館市高盛町)の吉田貴之社長(42)が初めて出品する。道内から挑戦するのは吉田さんだけで、道南からの出品も実に15年ぶりとなる。何度も作り直して完成させた力作。吉田さんは「持っている技術の全てを出し切り、存在感のある作品に仕上げることかできた」と話している。

 同博覧会は、1911年に始まった国内最大の菓子の祭典。ほぼ4年おきに、全国各地で開かれ、今回は5月12日まで旧広島市民球場跡地などを会場に行われる。工芸菓子部門には約150点のエントリーがあった。

 工芸菓子は高い技術が必要で、道南で作ることができるのはごくわずかしかいないという。吉田さんは工芸菓子の繊細さに魅了され、10年前から一流の作品を見るなどして独学で技術を修得した。

 「北海道、道南から出品が途切れていて、悔しさと寂しさがあった」と吉田さん。前回の博覧会があった4年前に出品を決意し、2年前から作品の構想を温めてきた。

 題名は「春風絢爛(しゅんぷうけんらん)」。花が咲き乱れる春の風景をイメージした、高さ120a、幅80a、奥行き75aの大作だ。中心に大きな岩を置き、周囲にバランス良くフジとシャクナゲ、ボタンの花、枝にはシジュウカラを配置した。材料はもちとあんこ、砂糖で、色づけや仕上げには着色料や落雁の粉を使っているだけ。

 葉っぱを作るための金型や木型は、業者に頼むのが一般的だが、吉田さんのこだわりは、それらの道具を自分で作っているところ。「作品の自由度が格段に増す」という。作品に取り掛かる前の観察やデッサンも重要で、フジは五稜郭公園に足繁く通い、スケッチを繰り返した成果だ。

 作品づくりは2月からスタートし、連日夜中まで作業して完成にこぎつけた。吉田さんは「博覧会に出品することでようやくスタートラインに立つことができた。これからも作品を作り続けていつかこの世界で一番になりたい」と目を輝かせた。

提供 - 函館新聞社


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