JR江差線の廃止決定、バス転換で3町合意

update 2013/3/29 09:46


 【上ノ国】JR江差線木古内―江差間(42.1キロ)が、来年5月にも廃止されることが28日決まった。廃止を検討しているJR北海道と、沿線3町の協議がまとまり、バス転換にかかるJRの地元支援策を3町が正式に了承。今後JRは廃線に向けて関係機関との手続きに入り、今年5月をめどに国へ申請する。

 同日、上ノ国町で開かれた沿線の木古内、上ノ国、江差の3町でつくる「第5回JR江差線対策協議会」(会長・工藤昇上ノ国町長)でJR側の地元支援策を3町が了承、同社の小池明夫社長と覚書を交わした。1日の前協議会でJRは、廃線に伴うバス転換の地元負担分9億円(同協議会の試算では18年間分の運行)の拠出を伝えていた。

 覚書によると、9億円は14年度から3年間、各年度初頭に3億円の分割払い。バス運行区間は木古内駅から江差高校の一日6往復。鉄路廃線に合わせて、同区間の定期券利用者への差額補償なども加えている。

 JR北海道の小池社長は「代替輸送の確保、地元負担の軽減にと弊社の厳しい経営状況を理解してもらい、3年後の新幹線開業に向けて当地の観光開発に努めたい」と述べた。

 工藤会長は「互いに誠意を持って協議を重ねてきた。住民の足を確保することが重要。(JRの)経営を考えると、今ここで同意せざるを得ない」、浜谷一治江差町長は「断腸の思いだが将来に向けて決断したい」、大森伊佐緒木古内町長も「一つの風景が変わるという寂しさがあるが、上ノ国などから木古内の病院に通っている住民らのために交通手段の確保に努めたい」としている。

 廃線決定を受け、江差町の男性(74)は「昭和11年以来地域の繁栄を支えた江差線がなくなるのは寂しいが、車社会という時代の流れを考えると(廃線は)仕方ないと思う」。木古内町の禅燈寺住職、好野秀哲さん(50)は「境内を線路が走る姿が人気で最近愛好家が多く訪れている。廃線は致し方ないが、線路が残るのであれば新たな活用法を期待したい」としている。

提供 - 函館新聞社


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