木村さん「新羅之記録」を現代語訳し出版
update 2013/3/27 09:59
市立函館博物館友の会理事で、市内東山在往の木村裕俊さん(65)がこのほど、初期の松前家の家史を記した「新羅之記録(しんらのきろく)」を現代文に訳し、無明舎出版(秋田)から出版した。木村さんは「北海道の中世から近世初期にかけて起きていたことが分かると思う」と話している。
木村さんは江差町生まれ。鉄道建設技術者として東北などで活躍し、2008年に定年退職。函館に戻り、かねてから好きだった歴史学に力を入れ、文献・史料から郷土史を知ろうと、08年10月に奈良大学文学部文化財歴史学科(通信教育部)に入学。11年に卒業。卒業論文は「文献史料で読み解く渡嶋蝦夷(わたりのしまえみし)」で古代の東北・北海道に住んでいた人たちを解明した。12年に同大で学芸員資格を取得した。
同大で古文、漢文を習い、北海道最古の文献とされる新羅之記録に興味を持ち、昨年春から約半年掛けて「新北海道史第7巻」にある「森羅之記録・上、下巻」の漢文と訓読文を現代文にした。同出版社が本にできる原稿を募集しており、応募したところ、年末に出版が具体化。3カ月掛けて校正した。
「道南十二館とコシャマインの乱」「松前慶廣(よしひろ)の誕生と家康公」など計20章で構成。本文では、上段で現代文、下段では人物などに注釈をつけた。さらに、時代背景など特筆することを解説として加えている。単語や人名の解読が難しく、1文に2、3日掛かったことや、松前町に足を運び、地名のあった場所を理解したこともあったという。
本を手に「松前藩とアイヌ民族との関わりは、決して悲劇的なものばかりではなかったことや、慶廣の政治的手腕が分かったことがうれしい。時代背景まで分かる新羅之記録を楽しんでもらえたら」と話している。
A5判、132n。1785円。同出版社で注文が可能(рO18・832・5680)。本の問い合わせは木村さん(рO138・55・0384)へ。
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新羅之記録…1646年(寛永20)年、幕府の命令で、初代松前藩主・松前慶廣(よしひろ)の子・景廣(かげひろ)が松前家系図に記述を補筆して作成。中世〜近世初期の北海道で欠かせない重要史料で「松前国記録」とも言われる。
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