農家ら反発や不満 TPP交渉参加正式表明
update 2013/3/16 10:14
「拙速すぎる」「国益は守られるのか」―。安倍首相がTPP(環太平洋連携協定)交渉参加を正式表明した15日、道南でも農業者らから反発や不安の声が上がった。
JA新はこだて青年部(約260人)の冨樫孝部長(36)=北斗市稲里=は「あまりに拙速だ。私たちよりも、子どもの世代が安心して農業ができるのか心配。論点として農業がやり玉に上げられるが、国民皆保険や金融、雇用分野が米国の狙い。消費者に、もっと本質を理解してもらいたい」と語気を強める。
函館市西桔梗町の会社員中川正さん(54)は「コメや公的医療保険など守るべきものはしっかり守り、国益にそぐわないと判断した場合は、撤退も視野に入れて交渉に臨んでほしい」と望む。
石川町の薬剤師水越英通さん(46)も「誰もが平等に医療を受けられる日本の公的医療保険制度が崩れる恐れがある」と危惧する。
川原町の主婦稲田明美さん(38)は「医療格差や雇用状況の悪化など、TPP参加は日本にとってデメリットの方が大きいように感じる。参加してすぐに影響が出るのか分からないが、コメや乳製品など日本の農業が衰退していけば、海外の食料を買わなければいけない。輸入食品の安全性に不安があり、買うのに抵抗がある。参加して日本がどう変わっていくのか心配」と話す。
青柳町の無職女性(65)は「知り合いの農家は『政府の交渉次第では、安価な野菜の流入で国産野菜はもう売れなくなる』と嘆いている。首相は農家の苦悩を知らないだろうし、全ての国民に利益があるわけではないことをよく心得てほしい」と注文。「参加表明に至る経緯がしっかり公開されなかった面がある。今後はもっと分かりやすく、正確な情報を国民に説明すべきだ」と指摘する。
一方、北斗市内の農家(55)は「参加の流れは止められないだろう。ただ、燃料や肥料代が高騰し、コメの単価が下がっているところにTPP参加で打撃を受ければ、コメ作りはどうなるのか…」と複雑な心境を明かす。
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