函館市、漢方の原料試験栽培へ
update 2013/1/8 10:16
函館市の工藤寿樹市長は7日、新年度から、大手メーカーと連携して薬用植物の試験栽培に取り組む方針を明らかにした。候補として、漢方に使用される「当帰(とうき)」の原料となるセリ科の多年草「トウキ」を挙げる。函館の気候風土に合った栽培方法を蓄積したい考えで、新年度予算に薬用植物試験栽培の研究費を盛り込む。
市農林水産部によると、薬用植物は近年、主産地の中国国内で需要が高まっているといい、日本国内の製薬会社にも生産を国内にシフトする動きがある。「当帰」には冷え性改善や鎮痛などの効能が含まれているという。
日本漢方生薬製剤協会(東京)が2011年にまとめた「原料生薬使用量等調査報告書」によると、08年度に生薬の原料として使用されたのは248品目、約2万トンで、8割強が中国産。このうち、上位60品目で約9割を占める。トウキの使用量は全体の8位で、約580トンのうち、約200トンが国内産となっている。
独行法人医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター北海道研究部(名寄市)によると、国内で主に生産されるヤマトトウキは、日本原産で古くは平安時代から知られている植物。
一般的な栽培方法は1年目に苗作りを行い、2年目の春に植え替えをして、秋に生薬の原料となる根の部分を収穫。十分に寒風に当てた後に乾燥させることで品質の高い原料になるという。同研究部は「トウキの栽培は難しい部類とはなるが、ルールが確立されている。寒風に当てるのは伝統的な加工方法で、医薬品としての品質基準に必要なエキス含量が増える」とする。
市農林水産部は「薬用植物の栽培は成長の伸びしろがある分野。栽培が普及すれば農家の経営安定にもつながる。函館の気候風土に合った栽培方法を検証したい」としている。
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。