生コン業界苦境 新幹線工事ピーク越え需要減 工場の集約化急ぐ
update 2012/12/24 10:29
北海道新幹線の開業が2015年度に迫り、橋りょうなど構造物の建設工事は終盤を迎えている。それに伴い生コンクリートの需要は激減するため、道南の生コン業界は将来に向けた岐路に立たされている。札幌延伸工事や自民党政権による公共事業増加への期待も高まっているが、業界挙げて工場の集約化を急ぎ、厳しい需要環境を乗り切る考えだ。
道南地区生コンクリート協同組合連合会によると、生コン出荷量は1995年度の140万5660立方bをピークに年々減少。2008年度には44万3800立方bにまで減った。新幹線工事で需要は持ち直し、10年度が45万9300立方b、11年度が62万6200立方bと推移。本年度は約56万立方bとなる見込み。
函館生コンクリート協同組合(北斗市)の本年度の出荷想定量30万3000立方b。そのうち18万立方bが新幹線工事で占めるため、工事をわずかに残すだけとなる13年度の出荷量は、本年度の半分に激減すると予想。北海道ティーシー生コン(北斗市)社長で同連合会の成田眞一会長は「需要はピーク時の3分の1。新幹線工事がなくなるとさらに厳しい環境になる」と危機感を強める。
業界が期待を寄せているのは札幌延伸工事。供給の主体は函館地区から沿線の北渡島生コンクリート共同組合の管内にある森、鹿部、八雲町の工場に移る。関係者は「1日も早く工事が本格化してもらいたい」と話す。
また、「コンクリートから人へ」と公共工事の削減を打ち出した民主党から、10年間で総額200兆円の公共投資を行うことを掲げた自民党に政権が移ったことにも期待の声がある。
一方、業界全体としては、ピーク時に40以上あった道南の工場を本年度は25にまで集約。効率的な経営で適正な供給量の維持に努めてきたが、新幹線工事の需要減はさらなる工場の集約化を求める状況となっている。ティーシー生コンでは今月いっぱいで知内工場の操業を停止。1月から木古内町にある他社の工場で共同操業する計画だ。
成田会長は「工場集約はこれまで各社が個々に取り組んでいたが、今後は組合主導、業界全体を挙げて進めていかなければならない」と話している。
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