補助金支出見直し 迫られる厳しい運営
update 2012/11/5 10:14
函館市の補助金支出の在り方に関し、外部委員による検討委員会(奥平理委員長)が10月、支出割合を事業費の原則2分の1以下とすることなどを盛り込んだ提言書を市に提出した。市は提言をベースに要綱をまとめるとしているが、各団体にとっては祭りやイベントなどで補助金の存在が命運を握る面もあり、厳しい運営を迫られている。
●ルール統一求める
提言は、統一した支出ルールづくりに向けて@公益性A必要性B公平性C補助事業者の自主性D透明性E有効性―が必要との観点で、費用対効果を検証する第三者委員会の設置やガイドライン策定を求めた。
具体的には▽補助割合は原則、事業費の2分の1以下▽繰越金が出た場合は理由を明確にし、翌年度の補助金は減額または廃止▽既得権化を防ぐため原則、終期を設け、期限に達したらゼロベースで見直しする―ことなどを盛り込んだ。祭り・イベント・大会に関しても「補助した団体から他団体に迂回(うかい)しているものは見直す」「自主自立ができなければ補助を打ち切る選択も考えるべき」とした。
市財務部によると、昨年度に補助割合が50%を超えた団体は20件。繰越金を出した団体も4件ある。「2分の1」は原則とすることで弾力性を持たせているが、団体側にとってインパクトは大きく、現状維持を求める団体も出始めた。
●団体側は「ジリ貧」
「努力しているが、この不景気で脱退も多い。収入を例年通りにカバーしたいが、ジリ貧だ」。10月末に開かれた市と各種団体との懇談会。函館国際観光コンベンション協会の渡邉兼一会長は、観光振興よりも先に補助金の維持を求めた。
渡邉会長の訴えにも、工藤寿樹市長は冷静に応対した。「市も人件費や経費を削っているし、交通料金助成の上限も市民にお願いしている。自主的会費の増強など努力してほしい」
同協会の本年度予算は、一般会計で4185万円の収入に対し、補助金は約8割を占める3450万円。参加団体からの会費は712万円にとどまる。渡邉会長は「景気の良くない時はどこかを切り詰めなくては」と言葉少な。別の幹部は原則2分の1以下に関して「本当にやめてほしい」と困惑を隠そうとしない。
●加速する「削減路線」
先週原案がまとまった新たな行財政改革プランでも「削減路線」は鮮明。水産・海洋産学連携促進補助金を13年度、道国際交流センターの運営費補助金を14年度、市文化・スポーツ振興財団への補助金を15年度で廃止する方針を打ち出している。
人口減少や少子高齢化で社会全体が“縮小”へと向かう中、団体側が運営費を市に依存する構図は曲がり角に差し掛かり、市も貴重な税金を有効に使えるかが課題となっている。
奥平委員長は「長く補助金を使う中で、当然もらえるという意識も強くなる。少ない金額の中で運営できないわけではないし、膨らんだ部分をどう削るか考えてほしい」と団体側に求めながら、市にも「潤沢な市税からどんどん出していた名残が残っている。どこかで蛇口を閉めなければ」と話す。
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