大間原発質問状、電源開発が市に回答文
update 2012/11/1 09:47
大間原子力発電所(青森県大間町)の工事再開に際し、函館市が事業者の電源開発(東京)に手渡した質問状に対し、同社は31日、北村雅良社長名の文書で回答した。建設再開について「政府が原子燃料サイクルを継続するとの方向性が確認できた」などと回答、原子力規制委員会の動向を注視するとした内容に、工藤寿樹市長は「今までの主張が繰り返されているだけ。ほとんどまともに答えていない」と非難、臨時国会の動向を見守るとした。
工藤市長が15日の同社訪問時に手渡した質問状は、▽原子力規制委の新たな安全基準が未定なのに、なぜ工事を再開するのか▽核燃料サイクルが確立されていない中で建設・稼働させる理由は▽事故が起きた場合の被害想定や対策は―など10項目。
これに対し同社は、@大間原発のエネルギー政策上の位置付けと工事再開A大間原発の立地B技術的な特徴Cその他―の4項目に分け、市の質問との対照表を添付して回答。建設再開の理由として「電力安定供給と原子燃料サイクルの一翼を担う重要な発電所。立地自治体の大間町や関連団体から再開を求める要望があった」とした。
市の質問のうち活断層の問題に対しては、敷地から半径30キロで地質調査を行ったとした上で「原子力安全委員会が独立性を持って安全性を確認することになる」としたほか、テロ対策に対しては「法に基づく秘密保持義務があり公表できない。国際海峡と約5カイリの距離にあることを踏まえ、十分に対応できるよう検討している」と回答するにとどまり、具体性を欠くものとなった。
その上で規制委の新技術基準への対応として「策定動向を踏まえて適切に対応する」と、改めて建設を優先させる考えを示した。
工藤市長は取材に対し、「もう1回再質問しても、的確な答えを返せるとは思えない」と再質問を否定し、「事実上の無視がそのまま継続されている」と不快感を示した。規制委が同日、半径30キロ圏内で原発事故対策が義務づけられるUPZ(緊急防護準備区域)の導入を決めたことに関しても、原子力防災計画を策定しない考えに変わりはないとした。
今後については、超党派国会議員でつくる「原発ゼロの会」の議員らによる臨時国会での審議や活動を見極める考えを改めて表明。市が原告となっての訴訟は「現時点で起こす、起こさないの最終判断はしていない」と述べた。
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