ホタテ採苗不良原因判明「2月の餌が少量」「エルニーニョ年」 函館水試の馬場主査ら
update 2012/10/6 10:22
噴火湾のホタテ養殖での採苗不良が、2月の餌の量が少ない年に起きていて、ペルー沖の海水温が平年よりも高くなるエルニーニョ年に起こりやすいことを、道総研函館水試(湯川町)の馬場勝寿主査(48)らが研究で解明した。採苗良否の予測が可能となり、経営計画を策定する漁業者に役立つことが期待される。
噴火湾のホタテ養殖は、種苗(養殖用稚貝)を採る「天然採苗」から始まる。卵はふ化後、0.3ミリほどに成長すると、足糸(そくし)という粘着性の糸を出して物に付着。この生態を利用し、漁業者は採苗器(棒網)を使い、6〜7月に稚貝を採取する。
ところが、天然環境下のため、採苗数(採れる稚貝の数)の年変動が非常に大きく、1992〜2012年の20年間に採苗不良になった年が7回あった。採苗器100c当たり最低2000個の稚貝付着が必要とされる中、100個(98年)という極端に少ない年もあれば、過去最高となる約25万個(11年)も採れた年もある。採苗不良年は他海域から種苗を購入せざるを得ず、経費負担が経営に重くのしかかる。そこで、同水試が原因解明と対策の研究に着手した。
成果によると、採苗不良は生殖巣が発達する2月の餌量が少ない年、春にエルニーニョ発生中の年に起こりやすい。エルニーニョの反対ラニーニャ年には、母貝の成長不良が起こりやすいことも分かった。
同水試は2月の餌量から、今年は100グラム当たり2.7万個と良好な稚貝付着を予測したところ、結果はほぼ的中の2・1万個。採苗予測を、同水試ホームページで見られる「噴火湾ホタテガイ情報」によって全養殖漁業者に知らせる。
馬場さんは「情報の発信だけではなく、漁業者からのフィードバックを受けて新規研究の立案に役立っている」と話している。
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。