穀物高騰 道南を直撃

update 2012/9/11 11:56


 干ばつ被害を受けた米国のトウモロコシや大豆の国際価格が史上最高値を更新し、輸入穀物を使う道南の畜産農家や醸造会社にも影響が広がりそうだ。波及するのは秋以降とみられ、餌代の値上がりは畜産経営を直撃。醸造会社も「大豆製品の値上げは必至」と窮状を訴える。

 「餌代が上がるのは確実。実際に上がってみないと、どれほどの損失になるのか分からない」。七飯町軍川で約1万1000頭の肉牛生産を手掛ける小澤牧場グループの小澤嘉徳社長(68)は表情を曇らせる。

 牛肉生産に欠かせない「配合飼料」は輸入トウモロコシが主原料。グループ全体で1カ月に使う配合飼料は2500トン、金額換算で1億2000万円。生産費に占める割合は6〜7割と群を抜いており、値上げによる経営への打撃が大きい。

 餌代のコストを下げるため、牧草地300ヘクタール、飼料用トウモロコシ110ヘクタールを自社生産。それでも、小澤社長は「脂や肉の色など、消費者が好む牛肉を生産するには配合飼料が必要」と話す。

 同グループは、ホルスタイン去勢を肥育する「はこだて大沼牛」と、和牛とホルスタインの交雑種(F1)を肥育する「はこだて大沼黒牛」をブランド化、主に生協と取引し安定した販路を確保している。

 しかし、牛肉は一般的に不況や放射性セシウム汚染牛問題、生食用牛レバー(肝臓)の販売禁止などで消費が低迷しており、餌代の高騰が厳しい経営をさらに悪化させる懸念も。小澤社長は「今後かなり上がるという想定はしているが、打撃は大きいだろう」と頭を悩ませる。

 道南一のみそ、しょうゆ製造量を誇る、八雲町東雲町の服部醸造(服部雅彦社長)も「大豆相場の世界的な高騰に加え、道産大豆の引き合いが強まり、原料の手当てが厳しい。11月ごろには製品の値上げが避けられない」としている。


 <米国の干ばつと穀物生産への影響>農水省によると、高温・乾燥の影響で、生産量はトウモロコシが2006年以来、大豆が07年以来の低水準となる見込み。指標となるシカゴ商品取引所の先物価格は大豆が7月20日に、トウモロコシが8月21日に史上最高値を更新した。

提供 - 函館新聞社


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