おくしり和牛増頭へ 海老原牧場
update 2012/9/2 10:16
【奥尻】「おくしり和牛」生産を手掛ける海老原牧場(町米岡、海老原浩代表)が、増頭へ向けて動き始めた。昨年10月に浩さん(52)の長女で、家畜人工授精師資格を持つ愛さん(23)が島へ戻り、繁殖部門を担当。現在の繁殖雌牛50頭を、3年後をめどに70〜100頭規模まで拡大するのが目標だ。函館の小売店での売れ行きは「はこだて和牛」などのブランド牛に引けを取らず、ファンを増やしている。
黒毛和種で、子牛から肥育までの島内一貫生産。愛さんは「潮風が運んだミネラルをたっぷり含む牧草を食べ、愛情いっぱいに育てるのが特徴」と話す。
愛さんは酪農学園短大(江別)を卒業後、胆振管内豊浦町の牧場で2年半研修し就農。現在は繁殖雌牛50頭、子牛30頭の飼育を任されている。浩さんが肥育部門を担い、現在は20頭を育てる。
粗飼料は牧草のほか、浩さんは島内でコメも作っており、稲わらも全て自家産で賄う。安全・安心で健康な和牛生産に親子で情熱を注ぐ。
肉牛は生後24〜30カ月で函館へ出荷。月に1頭ほどのペースで、年に12、13頭と出荷量はまだ少ない。肉は柔らかくて甘みがあり、程よい霜降り。飽きのこない上品な味が和牛ファンをとりこにする。
島内に販売店はなく、湯の浜温泉ホテル緑館で食べられるのみ。肉の販売は毎年8月の最終土曜に奥尻港湾内で開催される「なべつるまつり」で年に1回だけ行われる。今年は同25日に売られ、肩ロースが完売する人気だった。
函館のホテルなどからも肉を求める問い合わせがあるが、対応し切れないため断っているという。浩さんは「繁殖雌牛を70〜100頭に増やせば、月に2、3頭の肉牛出荷が実現できる」、愛さんは「将来は肉を島内で提供できればうれしい。まずは年1産を目標に人工授精を頑張りたい」と笑顔を見せる。
函館市内で唯一扱う「お肉のつしま」(田家町、對馬浩代表)は「品質が年々良くなり、欲しいというお客も多い。頭数が増えて安定供給できれば、もっとファンが増えると思う」と期待を寄せる。
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