磯焼け対策 藻場再生に成果 上ノ国

update 2012/8/28 10:42


 道南日本海で深刻な「磯焼け」を改善するため、上ノ国町原歌地区で窒素肥料の海中投入による藻場再生に向けた動きが本格化している。道総研函館水試(湯川町)などの研究で、施肥により簡易な養殖コンブの成長が促進されるなど一定の成果が出てきた。研究を今後も続け、ウニやアワビの餌となるコンブ群落の形成を目指す。

 磯焼けは、沿岸で海藻の群落(藻場)が消え失せて不毛の地となる重大な環境問題。要因として指摘されるのが海の栄養不足だ。そこで、海藻の発芽や成長に大きく影響する秋〜春に、窒素を海中散布して栄養分を補う試験に動き出した。

 道が2009年度から取り組む藻場再生実証事業。研究では施肥のほか、海藻を食べるウニの密度を下げることで効果を検証。既に3回の施肥試験を終え、今年10月〜来年6月に4回目の施肥を行う。

 これまでの試験では、硫安を海水と混ぜて毎時4dを海域に放出。施肥量は窒素分換算で09年度7.7トン、10年度7.5トン。

 09年度の試験では、ウニの密度を下げないと海藻が繁茂しないことが分かり、さらに施肥区では緑藻類を中心に海藻が繁茂した。

 10年度は試験区を広げ、ウニ密度を低くした施肥区(80b×沖70b)と対照区(同)を設置。施肥地点に近い20b四方で緑藻類を中心に海藻の量が増え、施肥の効果が見られた。11年度の試験結果も現在、取りまとめている。

 同水試の赤池章一研究主幹は「海藻の量が増えれば、ウニやアワビの餌も増えて実入り、成長とも良くなる」と強調。簡易養殖施設では、施肥区の方が対照区よりもコンブが大きく育ったが、群落を作り出すには至っておらず、なお課題が残る。

 同町は「磯焼けが解消されれば、沿岸資源の回復が期待できる。試験では良い結果が得られており、かつての漁場を取り戻すことにつながれば」(水産商工課)と期待する。  道によると、後志管内寿都町の海域でも、本年度から磯焼け対策の実証事業に着手している。

提供 - 函館新聞社


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