紅藻「ダルス」に血圧上昇酵素の活性を抑制効果 北大の岸村潤教授ら確認
update 2012/8/5 11:24
道南に分布する紅藻(こうそう)の一種「ダルス」に、血圧上昇に関与するACE(アンジオテンシンΙ変換酵素)の活性を抑える働きがあることが、北大大学院水産科学研究院の岸村栄毅准教授の研究で分かった。
ダルスは寒海性の海藻。長さ約30センチ、幅約5センチ、紫色がかった紅色をしており、タンパク質を多く含む。カナダや北欧では「海のパセリ」と呼ばれ、サラダやスープなどの食材、サプリメントにも利用されている。日本ではほとんど知られておらず、マコンブやガゴメコンブなどの養殖ロープに繁茂し、コンブに日が当たらないため除去される。
岸村准教授はタンパク質を多く含む紅藻類の中から、資源量が豊富で、寒い地域特有の海藻ダルスに着目。
ダルスからタンパク質を抽出後、酵素で分解してダルス・ペプチドを調製。ACE阻害作用について試験管で実験した。その結果、蒸留水だけに比べ、ダルス・タンパク質の抽出液は活性が約30%抑えられ、さらにダルス・タンパク質を酵素で分解したペプチドでは活性が約90%抑えられた。「ダルス・ペプチドはACE阻害作用を持つ」と岸村准教授。
ただ、人が食べて実際に作用があるのかは調べていない。ACE阻害ペプチドは既にゴマやイワシ、牛乳由来のラクトが商品化されている。
函館では、未利用海藻だったガゴメが健康に良い成分(フコイダンなど)が多く含まれているとして脚光を浴び、商品開発が進んだ。ダルスは漁獲期が冬のため、函館沿岸で夏に盛んなコンブ漁と作業が重ならない利点もある。岸村准教授は「ダルスは有望な海藻。多くの人に食べられるようになれば」と期待する。
ダルスの研究は、同院の佐伯宏樹教授の研究室が取り組んでいる。
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