ナマコ種苗の生産開始、道栽培漁業公社が初の事業化
update 2012/7/21 12:35
中華料理の高級食材として人気が高い道産ナマコについて、道栽培漁業振興公社(本所札幌)が本年度、初の事業化となる人工種苗生産を始める。稚ナマコを水槽内で無事に育成できる技術の確立により量産が可能になったためだ。ひやま漁協(本所乙部町、市山亮悦組合長)など2漁協に、年間100万匹を販売する。
種苗生産は、親ナマコから採卵し、人工授精させ、陸上の水槽で体長10_まで育成する。同公社は2005年度から鹿部事業所(鹿部町、11年度末に閉鎖)で種苗生産の技術開発を始めたが、安定生産には至らなかった。難題だったのが、水槽内に繁殖してナマコに害を与え、死亡させる原因となる甲殻類「シオダマリミジンコ」や原生動物「スクーチカ」。
道総研栽培水試(室蘭)の指導を受け、シオダマリミジンコ対策として水槽の水をろ過することで防げることを確認。採苗時の1槽当たりの密度を減らすと、原生動物に食害される確率が下がることも分かった。
種苗生産を担う熊石事業所(八雲町)の安住真所長は「試験を繰り返した結果、ほぼ技術を確立でき、量産の見通しが立った」と話す。
稚ナマコは遺伝的配慮から、親ナマコを漁獲した海域に放流する。本年度は親ナマコを入手した、ひやま漁協と常呂漁協(北見市)を対象とし、価格は1_当たり3円(1匹10_だと30円)。ひやま漁協には11〜12月と来年6月、常呂には同6月に50万匹ずつ販売する。
各漁協は、稚ナマコを海中で育成・放流し、2、3年かけて漁獲サイズの約10aまで育てる。
道内で種苗生産を手掛けるのは20機関、そのうち海への放流まで至っているのは13機関。11年に生産された種苗の総数は約750万匹、放流された種苗(平均体長約4〜62_)の総数は約250万匹。
ひやま漁協は「既に八雲町熊石水産種苗生産センターで年間50万匹の種苗生産を行っているが、漁業者はさらに購入意欲が高い」と歓迎している。
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