トゥリーズ・ネットワークが函館進出を計画
update 2012/7/12 12:42
東京のベンチャー企業「Trees Network(トゥリーズ・ネットワーク、斉藤健社長)が、函館市内で電磁波を遮蔽(しゃへい)する技術を活用した製造施設や研究所を設置する計画を持っていることが分かった。経済産業省から補助金交付の決定を受けて函館進出を目指しており、年内をめどに詳細な計画を公表する考え。函館市は「製造業の活性化につながる」として、同社の進出を歓迎している。
トゥリーズ社は大手ゼネコンで研究員を務めていた斉藤社長(45)が2010年に設立し、電磁波の遮蔽技術を使った医療関連用品開発を専門とする。
同社によると、函館を電磁波を遮蔽するための特殊繊維素材とガラスの製造拠点とする方針。病院の精密検査で使われるMRI(核磁気共鳴画像装置)は窓のない部屋に置かれることが一般的だが、遮蔽効果を持つガラスを壁に使うことで、ペースメーカー使用者でも普通に近くを歩けたり、部屋の中の圧迫感を緩和することができる。
10日には、東日本大震災からの産業復興と雇用創出を目的とする同省の「国内立地推進事業費補助金」の二次公募に採択された。成長分野にある企業の設備投資について、中小企業には投資額の2分の1を補助し、原則2013年度までに事業を完了することが条件。
現段階で設置時期や場所、投資額などは未定。同社は当初、富士山麓での施設設置を計画していたが、震災後に周辺で大規模な余震が発生したことを受けて計画を変更。ゼネコン在職中に同僚からの提案を受けて、函館を新たな候補地にした。斉藤社長は取材に対し「市の支援体制や産学官連携が充実しており、世界に向けた製品作りの製造拠点として魅力的」と話す。
同社はまた、道経済産業局がものづくりの技術向上につながる研究開発を支援する「戦略的基盤技術高度化支援事業」の採択も受けており、3月から約1年間での技術開発を進めている。斉藤社長は「いい成果が出れば新工場に反映させたい」としている。
市はテクノパークや臨空工業団地への進出を呼び掛ける考えで、「進出はありがたい。外からの企業が入ることで地元企業との相乗効果が生まれれば」と話している。
◆国内立地推進事業補助金 東日本大震災による産業空洞化を防ぐため、製造業で代替のきかない部品や将来の雇用を支える成長分野の生産拠点に対し、経産省が昨年度の第3次補正予算から計2950億円を支出する。同省は補助額の約6倍となる約5880億円の設備投資や、約7万人の雇用創出を見込む。二次公募には全国から約500件の応募があり、10日付で245件を決定。道内ではトゥリーズ社のほか7社が採択された。
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