市内焼き肉店でも反発 レバ刺し来月から提供禁止
update 2012/6/25 11:50
厚生労働省は7月1日から、焼き肉店や居酒屋などでの牛の生レバー(肝臓)の提供を禁止する。函館市内の店舗は既に多くが「レバ刺し」を自粛。一部で提供店も見られるが「食肉処理から食材の衛生管理まで徹底すればトラブルは起きない。売り上げに響くし、その補償がないのもおかしい」と反発している。
「あまりに一方的な措置だ」。市内で焼き肉店を経営する男性(52)は国の方針に首をかしげる。同店は開業以来15年間、食肉処理から1日以内に仕入れた牛レバーをレバ刺し(860円)にして提供している。その新鮮な味を求めるファンは多く、単品での売り上げは1日1万円以上と大きかったが、「それはもう過去の話。今ではレバ刺し目当ての客は激減して大打撃です」(男性)。
提供禁止は、昨年4月に起きた焼き肉チェーン店での和牛ユッケ集団食中毒事件がきっかけ。厚労省は安全対策として同年10月、牛生肉の表面を削るよう業者に義務付けるとともに、牛生レバーの提供も自粛を要請した。その後、レバー内部から腸管出血性大腸菌O157や食中毒菌のカンピロバクターが見つかったこともあり、有効な除菌方法がないとして禁止に。違反すれば行政処分が、悪質な場合は罰金が課せられる。
20年以上食肉を扱う仕事に携わっている男性は「レバ刺しは食文化の一つとして定着しているのに、素人の不祥事を理由になぜベテランの自分たちまでが被害に遭わなければならないのか」と語気を強め、「焼き肉店は一定程度の条件をクリアしないと開業できないなど、免許制や許可制にするべきでは」と国に注文を付ける。
一方、市内では市立函館保健所の指導があった昨秋の時点で既に自粛する店舗がほとんどのようだ。ある焼き肉店は「問題が起きてからでは遅い。お客さまには申し訳ないし商売にも大きく影響する死活問題だが、仕方がない」と諦め顔。別の店舗も「人気メニューには違いなかったけど、馬刺しなど別のメニューを増やしたり、価格を少し抑えたりした。客にも何とか理解してもらっている」と明かす。
函館市内では2005年5月、牛のレバ刺しを食べた3人が食中毒を発症している。市は今後、市内の店舗に文書を送るほか、ホームページでも注意を促す予定で、同保健所は「しっかり予防対策をしてほしい」と呼び掛けている。
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。