まずまずの出だし スルメイカ漁

update 2012/6/18 11:32


 今月1日解禁の道南スルメイカ(マイカ)漁は中旬以降、本格化する見通しだ。上旬の漁獲量は昨年同期を上回るも、過去10年平均よりは少ない。日本海での群れの北上が遅れているのに漁模様がそれほど悪くないのは、沿岸寄りに漁場がうまく形成されているためとみられる。漁業者は「まずまずの出だし」と受け止め、盛漁期に向かって好漁を期待する。

 函館港の近海生鮮釣りイカ漁獲量は今月上旬41.8トン。記録的な不漁だった昨年同期の2.7トンをはるかに超えるが、2010年同期の50.1トンを下回る。過去10年平均(02〜11年)の49.6トンと比べても少ない。

 今季は日本海全体の資源量が高い水準にあると予測され、さらに漁場が松前沖に形成されているのが現状。漁場形成がうまくいっている理由について、道総研函館水試(湯川町)の澤村正幸研究主任は「日本海は沖合の海水温が冷たく、沿岸が暖かい。このためイカの群れが沿岸沿いに北上してきて、沿岸寄り(松前沖)に漁場が形成されていると考えられる」と指摘。同水試の調査船「金星丸」が5月18日〜25日に日本海で行った調査でも、沖合に低水温の海域が昨年より広がっていることが確認された。

 今後の漁模様について、澤村さんは「松前沖も含めて日本海全体の表面水温は平年より高いため、群れの来遊に伴いこれから徐々に漁獲が上向くだろう。ただ、水温があまり高めに推移すると、群れの通過が早まったり、群れが沖合を通って沿岸に漁場が形成されにくくなる可能性があるので、注意が必要」と話している。

 金星丸は今月20〜28日に桧山沖の日本海で、釧路水試(釧路市)の調査船北辰丸が17日まで道南太平洋でスルメイカ漁場調査を行う。スルメイカは、例年だと今月下旬から7月上旬にかけて太平洋側に群れが来遊する。

提供 - 函館新聞社


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