消費増税に市民批判 民自公3党合意
update 2012/6/17 10:48
民主、自民、公明3党が、社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる修正協議で合意した。現行5%の消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる法案が成立する見通しとなったが、不況が続く中での増税に、函館・道南の住民からは反対意見や、政治に対する注文の声が相次いでいる。自治体や経済界もまた、法案成立への動向を注視している。
3党合意を受け、今後は増税に慎重な意見が根強く残る民主党内の了承手続きが焦点となる一方、最低保証年金創設と後期高齢者医療制度の廃止など、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げていた施策への結論は出なかった。
函館市民からは増税への落胆とともに、政党への不信感を募らせる声が出ている。青柳町の無職信太(しだ)政さん(83)は「2年のうちに5%も増やすのは乱暴だ。食料品や日用品など生活に直結したものは税率を据え置き、ぜいたく品は増やすなど市民生活への配慮が必要」と批判。また、民主、自民両党の協議の進め方について「すっかりなれ合いになってしまった感がある」と指摘する。
市内本通の主婦川上香代子さん(39)は「日本の消費税は税率も国税収入に占める割合も低いので仕方ないかも知れないが、10%となると家庭に大きく響く。夫の飲食店経営にも影響が出ると思うので、生活の意欲が失われる気分」。湯川町の主婦本田香澄さん(51)は「報道の中で、社会保障の部分が見えてこない。消費税増税・法人税減税で『負担を分かち合うという』というのは、国が地方の暮らしを見ていないと感じる」と話した。
一方、自治体は個人消費の冷え込みに伴う税収悪化を懸念するとともに、消費税収入の動向に関心を寄せている。
財源不足が続く函館市は、「消費税は公平な税負担だけに、市民生活への影響がどれほど出るか心配」(財政課)と話す一方、現在の消費税5%のうち1%が入る、地方消費税交付金の今後を注視。本年度当初予算では28億円が国から交付されている。
消費税が10%に増えた場合、交付金は単純計算で倍になるが、同課は「上積みされる5%は社会保障に充てるとしているが、今の段階では具体的に何に使っていいかが未知数。生活保護や後期高齢者医療への支出が無視できない状況だけに、早く示してもらえれば」。
北斗市企画財政課の財政担当者は一般論として、「個人消費の冷え込みの話は当然出てくる。企業の生産活動に影響すれば、法人税の税収減にもつながる」と話す。
同市は2015年度の北海道新幹線開業で一定の固定資産税増収などを見込んでいるが、今回の消費増税の影響は未知数とする。社会保障改革の中で、市が独自の予算措置で上積みして実施している施策と重なる部分で「国の制度基準の拡大など、好材料があれば」と期待する。
地元経済界の立場は複雑だ。函館商工会議所の酒井康次専務理事は「大局的に見ると増税はやむを得ない」とする一方で、「一般市民はもちろん、中小零細企業は今でもギリギリで商売をしている。増税で消費意欲が減退すればさらにモノが売れなくなり、厳しい環境に追い込まれる」と地域経済への影響を懸念。「増税のタイミングを見ることや、弱者救済などの経済対策が必要」としている。
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