水難救助 安全対策徹底

update 2012/6/17 10:47


 同僚に誓う再発防止―。函館市消防本部は昨年から、水難事故対応の見直しを進めている。昨年6月に同本部高度救助隊の潜水隊員、山口広明さん(34)が海中で車の下敷きになる事故をきっかけに、全国的にも導入が少ない浮力を使って水中の重量物を上げる装備品の取り入れや訓練時間を増やすなど万全の体制を整えた。山口さんは現在も意識不明の状態が続いており、職員は「一日も早い回復を」と願いながら、悲しい事故の撲滅に力を注ぐ。

 昨年6月9日、男性の運転する車が海中転落する事故が発生。車は水深約6メートルで運転席側を下にして、ほぼ垂直の状態で立っていた。隊員3人が男性を救出、二次検索中に車が倒れて山口さんが下敷きとなった。

 この事故を受け、同本部は水難救助活動検討委員会を立ち上げ、昨年8月に消防庁に報告書を提出。車が垂直で立った状態で発見されるのは非常に珍しく、調査ではトランク内に200キロ程の浮力があれば直立は可能という結果が出た。実際、車内にはスーツケースなど気密性の高いものが多くあり、救助のため窓ガラスを割った際に空気が抜けて車が倒れたと見られている。計算上、空気が抜けた後、早くて16秒後には倒れ始めるとされている。

 これまで海中で車が倒れるとの想定はなく、同本部では昨年10月から浮力で500キロの重さを上げられるアクアリフターを導入。隊員の位置を知らせるストロボライトなどを取り入れた。また、長時間の救助出動にのみ用いられた水中無線機使用の徹底、通常3人の隊員のほか、緊急時に対応できるよう別な隊員も陸上で待機させることにした。

 また事故後、訓練時間を例年の倍に増やし、基礎訓練を重視してきた。現在、24人いる高度救助隊のうち18人が潜水隊員としても活動する。同本部によると、昨年の水難救助出動は17件(うち3件が車両転落)、今年は5月末で6件(同1件)となっている。

 荒木克行警防課長は「要救助者と隊員の命を守るには情報伝達が大事。訓練での経験を取り入れながら、安全対策の徹底を図っていきたい」と話している。

提供 - 函館新聞社


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