昨年度市電乗客数、14年連続前年割れ

update 2012/6/15 11:38


 函館市企業局は、2011年度の運輸実績(速報値)をまとめた。乗客数は前年度比2.3%(13万4216人)減の570万1523人となり、14年連続で前年実績を割り込んだ。夏場以降は盛り返したが、東日本大震災の影響で上期に激減した観光客の落ち込みが響き、現在の路線系統になった1993年以降で最少となった。

 同局管理部によると、11年度の乗客は4月が前年同月比15.7%減、6月が同12.6%減と2桁台の大幅な落ち込みで、大型連休の5月も同7.9%減と苦戦。主に観光客が多く利用する市電・バス共通の1、2日乗車券や、電車専用乗車券などの購入者も前年度比9・2%減と大きく落ち込んだ。

 一方、8月は前年同月比0・3%増、9月は同6.7%増と、夏以降は挽回。今年3月は震災の反動増で同18.2%増と急伸した。8月〜今年2月だけをみると、運賃収入で同0.3%増と前年実績をわずかに上回ったが、今年の大雪の影響で1月が同2・6%減、2月が同4.1%減だった。

 近年は1997年度の843万人をピークに減少傾向に歯止めがかからない。市電沿線の人口や事業所の減少、マイカーの普及、郊外化などマイナス要因が多く、函館競馬場のリニューアルオープンや、東北新幹線の全線開業効果などで好調だった2010年度も、震災による3月の減少分が響き、最終的には同0.4%減と悪化した。

 11年度の交通事業会計の決算見込み(税抜き)では、本業の料金収入が同2.7%減の9億3900万円、広告、物販など雑収入が同10.5%減の4900万円で、経常損益は860万円の赤字となったが、市の一般会計の繰入金8500万円などがあり、純利益は7600万円の黒字を確保した。

 12年度は、高齢者向けの市の交通料金助成制度が大幅に変更。これまでは無制限に運賃の半額が助成されていたが、4月からは専用の乗車カードを購入する際に年間6000円を上限に助成することになった。このため、同局経理課は「4〜5月に販売収入が前年より2〜3割伸びたが、限度額まで使いきった後の動向が読めず、前年度との比較は難しい」としている。

提供 - 函館新聞社


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