医学部構想で同志社総長と市長が会談

update 2012/6/14 11:51


 学校法人同志社(京都市)の大谷實総長が13日、函館市役所を訪問し、市が同志社大学に打診している医学部誘致構想について、工藤寿樹市長と意見交換を行った。函館新聞の取材に対し、双方ともに同構想について「大きな進展はない」としながらも、同志社が毎年6月に開いている新島襄海外渡航の地(大町)での碑前祭を通じて、双方の関係を強化していくことを確認した。

 大谷総長は14日に開かれる碑前祭出席のため来函し、市役所を訪問した。大谷総長と工藤市長が会うのは初めてで、約30分間会談した。

 医学部誘致構想をめぐっては、工藤市長が5月に京都を訪れ、同法人の八田英二理事長兼学長と会談している。大谷総長は取材に対し、医学部設置に関する進展や市からの具体的な誘致策はなかったと明らかにした上で、関西で医師が充足している状況から「函館は地方としては最も同志社と縁が深い。医学部を設置する場合には、当然一つの候補地となる」と強調。

 同志社としての課題に財政問題や、関西を離れて設置することの整合性を挙げ、「財政問題の高いハードルに関しては、市長に伝え、理解いただいた」と述べた。同法人が設けている、医学部に関するプロジェクトチームの今後の方向性については「まったく分からない。情報を集めたり、国の動向を調査したりしているが、理事会にも具体的な報告はまだない」と述べるにとどめた。

 工藤市長も「新しい材料はなく、詰め込んだ話はしていない」とした一方で、同志社側が懸念する財政問題に関し、市立函館病院を連携病院とすることで、大学が付属病院を設置した場合と比較して運営コストは抑えられると強調。同市長は取材に対し「赤字の大半は大学病院が抱えている。(連携病院だと)学部へのリスクは少なく、普通の医学部よりは負担額は違ってくると話をした。付属病院と医学部の赤字がどれほどか、今後検討していく必要がある」と話した。

 また毎年6月14日に同志社が行い、市が後援している碑前祭に関し、大谷総長は前日の講演会開催などを提案し、工藤市長もこれを評価。大谷総長は「来年から市と一緒に具体的な検討を進めたい。地域との連携が重要になる」と述べた。

提供 - 函館新聞社


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