日中韓の研究者、大沼で気候変動調査
update 2012/6/6 10:29
【七飯】東アジア地域の気候や環境の変化を調べている日本、中国、韓国の合同研究チームが5日、大沼での調査を実施した。柱状の装置を使用し、湖底の地下4b分の堆積物を採取。今後、成分を分析することで、過去数百年分の環境変動を知ることができる可能性がある。
研究は、金沢大学環日本海域環境研究センター(石川県金沢市)の柏谷健二教授(水文地形環境学)を中心とした3カ国の研究者による合同プロジェクト。各国の状況を比較し、過去1000年分の自然環境の変動を調べている。堆積物の成分を分析し、気温の変化や大雨など自然災害の痕跡、人間の活動が環境に与えた影響などを知ることができるという。
柏谷教授によると、昨年、大沼から試験的に採取した70〜80a程度の堆積物で、表層から30a程度のところで放射性セシウムが検出された。これは冷戦時代の米ソの核実験で、世界中に放射性物質が放出された影響のピークである1963年と特定できるという。
また、駒ケ岳は1640年や1929年の大噴火など、噴火の記録が残っているため、火山灰の含有状況で年代特定が可能という。今回の調査では、4b分の堆積物を採取していることから、過去数百年単位の環境変動を知ることが期待される。
調査をサポートする道教育大学函館校の田中邦明教授(環境科学)は「得られた試料から、1980年代以降の観光開発や草地の開発による表土の流出など、人間の活動が大沼にどう影響したのか知ることができれば」と話す。
また、柏谷教授は「明治以前のこの辺りは人為的な影響が少なく、自然の変動がはっきり分かるピュアな環境だったはず。湖は地域の環境を知るモニタリング装置であり、堆積物は記録紙の役割を果たしている。今回の調査で、過去の環境変動がはっきり分かることを期待している」と話していた。
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