厚沢部小でカワヤツメ人工授精

update 2012/5/23 11:19


 【厚沢部】個体数減が続くカワヤツメ(ヤツメウナギの仲間)の資源回復を狙おうと、厚沢部小学校の4年生29人が22日、同校で人工授精に取り組んだ。専門家の指導で、学校近くで捕獲した体長40センチほどのカワヤツメで知識を深めた。

 厚沢部町河川資源保護振興会の山下清会長と坂本和晃副会長が講師を務め、資源保護活動の様子を紹介。カワヤツメは3億6000年前から生命をつないできたとし、「姿は古くから変わっていない」と伝えた。

 地域の生態系を維持する存在の重要さや、みそ煮込みなど郷土料理として親しまれてきた背景に触れ、「人工授精による資源の維持と回復が大切」と強調した。児童は山下会長の手ほどきで、人工授精を学んだ。約2万個の受精卵は校内の水槽で水温管理など成長を見守り、1カ月後には厚沢部川へ放流するという。

 田尻玲士君(9)は「初めてカワヤツメを見て、触ったらつるつるしてびっくりした。卵が無事かえるように大事に育てたい」。米谷彩さん(9)は「産卵を終えたら死んでしまうのがかわいそうだけど、たくさんの命をつなぐために必要なことだと勉強になった」と話していた。

 同振興会によると、カワヤツメの個体数は「道の資料から道内全体で10年前に比べ、100分の1に減っている。厚沢部での数は分からないが、昔と比べて確実に少なくなっているのは事実で、人工授精などによる資源回復が重要になってくる」としている。

提供 - 函館新聞社


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