三澤さん日本植物病理学会の学術奨励賞に
update 2012/5/21 11:52
【北斗】道総研道南農試(北斗市本町)の研究主任、三澤知央(ともお)さん(38)が、日本植物病理学会(東京、会員2000人)の本年度「学術奨励賞」に選ばれた。北海道の各種野菜類に発生した多様な病害の発生原因を突き止め、有効な対策を打ち立てた成果が認められた。学術論文が評価される同賞は大学教員の受賞が多く、現場対応もする農試職員の受賞は快挙だ。
三澤さんは札幌市出身。北大農学部を卒業後、道病害虫防除所(空知管内長沼町)を経て2004年から現職。専門は植物病理で、ネギ葉枯病をテーマにした論文で博士(農学)を取得した。
ネギ葉枯病を含むいろいろな野菜の病害について研究を進めてきた。これまでに道内で発生報告のなかった50病害について、原因を解明。このうちトマト株腐病は世界で初めて、ニラべと病など7病害は日本で初めて原因を明らかにした。
防除対策では、全道的に発生しているイチゴ疫病やネギ葉枯病、知内町で栽培が盛んなニラ白斑葉枯病、上ノ国町が産地のサヤエンドウうどんこ病の4病害について防除法を開発。例えば、イチゴ疫病では農薬を使った防除のほかに、品種の抵抗性を明らかにすることや、病原菌と苗を物理的に隔離して無病の苗を作る対策を確立した。対策を開発するのにイチゴ疫病は6年、サヤエンドウうどんこ病は3年掛かっており、地道な努力のたまものだ。
道南農試での勤務8年間で、農家から計750件の病害診断を受け、防除対策を指導している。その傍ら、学術論文を国際誌を含め30本発表していて、学術的な活動にも力を入れてきた。三澤さんは「現場対応をしながら、学術分野での成果が認められてうれしい。病気を少なくするために、農家の役に立つことができるのは自分の自信です」と話す。
同賞は1971年に創設され、若手研究者で年に3人授与される。都道府県の試験場職員の受賞者は、42年間で三澤さんが全国7人目、道内3人目。3月下旬に福岡市で開かれた同学会の席上、表彰を受け、記念講演もした。
同農試も「職員の励みになる」と喜びに沸いている。三澤さんは「ニラ白斑葉枯病を継続的に研究しており、今までよりもレベルの高い学術雑誌(米国)に掲載されるようなデータを取り、国際的に活躍したい」と意欲的だ。
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