イオン「峠下」出店断念…七飯町に意向伝える
update 2012/5/16 11:22
【七飯】大手スーパーのイオン北海道(札幌、柴田祐司社長)が七飯町峠下地区への大型ショッピングセンター出店構想を断念したことが15日、分かった。同社の開発担当者らが同日、七飯町役場を訪れ、中宮安一町長に白紙撤回を伝えた。同地区には都市計画法上の規制があり、函館市など圏域の反発も根強いことから、出店が難しいと判断したとみられる。
町役場を訪れたのは同社の開発不動産部長ら3人。中宮町長をはじめ、担当課長らと約30分間懇談し、計画を断念する意向を伝えた。
同社が道南進出の候補地の一つとしていた同地区は、北海道新幹線新函館駅(北斗市、仮称)から至近距離にあり、道央自動車道の七飯インターチェンジ延伸計画など、今後、さらなる交通利便性の向上が期待されている。
しかし、同地区は仁山から藤城地区に及ぶ819fの準都市計画区域(2007年9月指定)内。3000平方メートル以上の開発行為には都市計画法の許可が必要となるほか、1万平方メートルを超える大規模集客施設の立地ができないなど、出店実現には高いハードルがあると指摘されていた。
中宮町長はこれまで町議会などで同社の構想を歓迎する意向を示し、計画区域の部分解除の可能性など内部で協議を進めていた。今月12日に町内で行われた講演で中宮町長は「イオンの出店は町民の利便性が向上し、雇用機会も増える」として、地域経済の活性化へ期待感を示したばかりだった。
町役場を訪問した同社の担当者は取材に対し、「何もお話しすることはできない」とした。中宮町長は今後も企業誘致にかかわる積極的な姿勢は変わらないとし、「町議会や町民に対して説明をしていないことなので、現段階でのコメントは差し控えたい」とした。
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同社の七飯出店構想に対しては、これまで、周辺自治体からは「圏域全体の都市構造に与える影響は大きい」などと、警戒感が高まっていた。
函館市都市建設部は「立地には法的なハードルが高く、正規の土地利用が図られるごく自然な流れ」と静観の構えで、「今後も大型店の出店には2市1町の函館圏域で共同歩調を取るべき」とする。市経済部は「行政区域外の話でコメントできない」としながら、「現在は函館を含め、大型店が出店できる場所は相当限られている」と指摘。「出店すれば少なからず影響はあったはず。今後の動きを注視していきたい」と述べるにとどまる。
峠下地区に隣接する北斗市の高谷寿峰市長は「事実確認した訳ではないのでコメントできないが、中心市街地の衰退につながる大型店は函館圏域に必要ないという認識に変わりはない」と述べた。
また、函館商工会議所の松本栄一会頭は「イオンが七飯町に出店するとなれば函館市内の中心部も一定の空洞化が避けられない。今回の決定は結構なことだ」と歓迎。今後については「地場資本の経営を圧迫しないためにも、郊外型の大型店はNO!というこれまでの姿勢でいる」と述べた。
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