春ホッケ不漁 漁師悲鳴 燃油高、漁出れば赤字…
update 2012/5/12 11:40
道南の春ホッケ漁が、今年は極度の不漁にあえいでいる。渡島管内最大の水揚げ量を誇る函館市恵山地区では、巻き網漁が始まった3月1日から同25日までに123トン捕れたのみで、それ以降11日まで水揚げは皆無だ。鮮魚向けの1本釣りホッケや、刺し網で捕る恵山ブランド「海峡根ボッケ・バキバキ」も不漁が続いており、漁師は「どうすればいいのか」と悲鳴を上げる。不漁の要因について、専門家は漁獲の中心となる年級群の資源量が少ないことを指摘している。
えさん漁協(高島武俊組合長)によると、春ホッケ漁は巻き網、1本釣り、刺し網で行われる。数量的に多い巻き網漁は6隻が船団を組み、3月1〜25日に123トンを漁獲。しかし、26日以降はまったく水揚げがなく、11日も捕れなかった。昨年は3月1日〜5月22日に663トン捕れているが、これは例年と比べても多い方ではないという。同漁協は「燃油が高い上、乗組員も雇用しているので漁に出れば赤字。20日ごろには終漁せざるを得ないのではないか」と厳しい表情だ。ここにきてようやく群れらしき反応が出てきたといい、今後に期待をかける。
刺し身のまま食べられるほど鮮度が良い「バキバキ」は4月末から7月中旬まで漁獲されるが、今月が旬。同漁協尻岸内ホッケ刺網部会(佐藤光行部会長、9人)が独自の漁法と鮮度管理により、鮮魚として全国へ流通させている。部会員の一人は「例年この時期だと1隻が1回の漁で60〜70枚(1枚=5キロ入り発泡スチロール箱)の水揚げがあるが、今年は最高でも30枚。これほど捕れない年は初めてだ」とため息をつく。
別の部会員は「ホッケがいない。水温が低いことが影響しているのか、漁場が形成されない」と嘆く。来週は潮回りがいいとされ、全部会員が盛り返しを願う。バキバキは、道の駅「なとわ・えさん」での直売会や、第44回恵山つつじまつりイベント(27日)でも即売が予定されており、漁模様が気になるところだ。
道総研函館水試(湯川町)の藤岡崇主査は「餌や水温といった環境要因の影響も考えられるが、2009、10年級群の資源状況が良くないことが大きな要因ではないか。2年続けて少ないのは、この後の資源が危機的な状況になる可能性がある」と話している。
市農林水産部によると、市水産物地方卸売市場(豊川町)でのホッケ取扱量は、4月が29トンで前年比180トン減。1キロ当たりの平均価格は509円で同335円高。5月上旬は数量が19トンで同22トン減、単価が400円で同149円高。量が少なく高値で推移している。
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。