大沼「ラムサール」登録へ
update 2012/5/11 10:42
【七飯】環境省は10日、中央環境審議会野生生物部会でラムサール条約の新規登録候補地として、七飯町の大沼など、国内9カ所を報告した。道内では釧路湿原など12カ所の登録湿地があるが、道南では初めて。6月の官報告示で国内候補地として正式に指定し、7月にルーマニアのブカレストで開かれる第11回締約国会議(COP11)で登録される。
対象地域は、大沼、小沼、蓴菜(じゅんさい)沼を含む1236ヘクタール。大沼などの三つの沼に代表される湖沼群は1640年に駒ケ岳が噴火した際に、川がせき止められてできたせき止め湖で、大小126の島が点在。古くから景勝地として知られ、1958年には道内初の国定公園に指定された。道内で見ることのできる野鳥の半数の生息が確認できるとされ、豊かな自然環境に恵まれている。
大沼は、同条約登録に必要な国際基準のうち、「代表的な、希少な、または固有の湿地タイプを含む地域」に該当。2010年9月に国内潜在候補地のひとつに選ばれ、自然公園法で環境の保全が図られていること、地元自治体の賛同など、登録に向けた条件を整えていた。
条約の登録後は、地域の暮らしが制限を受けることはなく、漁業や観光業など既存産業の振興、持続可能な環境利用と保全の両立を図る「ワイズユース」(賢明な利用)の視点に立った取り組みが必要となる。七飯町や七飯大沼国際観光コンベンション協会(渡辺邦浩会長)などは、地元農、漁業者、環境保全団体などが参画する協議会を近く立ち上げ、同条約登録後の大沼の環境保全活動や地域振興などを検討する方針。
同協会副会長で環境とまちづくり委員会担当理事の財津茂実さん(59)は「条約の登録で、自然の豊かさが売りになる。我々も勉強をしながら、大沼の価値が高まるような取り組みをしていく」と話していた。
同省によると、国内の新規登録候補地は大沼をはじめ、渡良瀬遊水池(茨城県など4県)、立山弥陀ケ原・大日平(富山県)など、6941ヘクタール。
ラムサール条約 正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。1975年発効し、今年5月現在で締結国は160、登録湿地は2006カ所(1億9300万ヘクタール)。日本は80年10月に締結国となり、37カ所(13万1027ヘクタール)を登録。うち道内は12カ所(3万5396ヘクタール)。
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