遊休農地 活用に本腰
update 2012/5/10 11:25
函館市農業委員会は本年度、市内で遊休地となっている農地対策を本格化させる。農家の高齢化や後継者不足が急速に進む中、これまで農家間でのやりとりが主流だった遊休農地の売却や賃貸などの仲介に初めて乗り出す方針で、農地の農地としての利用促進を目指す。
同委員会によると、市内の農家は3月末現在で714戸あり、農地全体の面積は約3800f。このうち遊休化している農地は判明分だけで約103fに及ぶ。市は2009年12月の改正農地法の施行を受け、10年度から農地の利用状況の本格調査に着手した。
10年度の農家を対象にした調査では、少なくとも計55戸の25・5fが遊休農地となっていることが判明。昨年7月に所有者に利用増進を促す「指導通知書」を配布し、今年6月末までに遊休農地の耕作が再開されない場合は、8月までの利用計画の提出を求める。
さらに、利用計画の届け出がなかったり、計画が適正でなかったりした際、同委員会が指導よりも重い「勧告」を出し、遊休農地の所有者と希望者との間で、農地の売買や賃借などのあっせんを図る。それでも協議がまとまらず、放置された場合は法的措置もある。
一方、昨年11月には農家以外の農地所有者を対象に調査し、少なくとも約75fの農地が遊休化していることが分かった。同委員会は5月中にも今後の農地利用に関する意向調査を行う予定だが、「相続の関係で所有者が不明だったり、もともと日当たりや水はけが悪く、耕作には適さない土地も多い」(事務局)のが実態だ。
一昨年の調査では、対象面積のうち、遊休農地で耕作を再開した農家は全体の2割程度にとどまり、半数以上が遊休化したまま。昨年の農家以外を対象にした調査でも遊休農地は全体の約2割に上り、事務局は「市内での遊休農地の全体像は不透明だが、優良な農地の有効活用を少しでも促進させたい」としている。
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