渡島総合振興局、新幹線開業対策を加速
update 2012/5/1 10:43
渡島総合振興局は本年度、4年を切った北海道新幹線の開業対策を加速させる。開業効果の最大化に向け道南全体の「アクションプラン(仮称)」策定と、新函館(仮称)から離れた自治体の自発的な行動を促す普及啓発活動を柱とする。開業を道南全体の振興に結び付けていくための原動力≠ニなりそうだ。
プランは2013〜15年度の3カ年計画で、この間の事業展開のベースとなる。既存の「北海道新幹線の開業を活(い)かした地域づくり懇談会」(05年設置)を活用し、5、6月ごろから策定作業に入る。同振興局長を座長とし、構成員は道南18市町を含む33団体。懇談会の下に課長クラスでつくるワーキンググループや、実務者レベルの部会を設け作業を進める。
開業に向け、新駅からの二次交通手段や広域観光の推進、産業振興にどうつなげるかといった課題の洗い出し、整理を行う。道南統一スローガンの設定、開業イベントの開催内容なども盛り込む。
一方、普及啓発活動は委託事業として行う。新函館の早期開業と札幌延伸に向けた住民レベルの機運を高める狙いがある。道南の市町や民間のイベント会場に出向き、新幹線に関するパネル展を開催したり、タオルを配ったりしてPR。ほかに、渡島・桧山管内で住民や事業者向けのフォーラムを2カ所で開くほか、住民向け建設工事見学会も3回予定している。
また、本年度は初めて開業に関するアンケート調査を実施。市町のイベント来場者や商工会、観光協会などを対象に認知度、取り組み状況を聞き取り、結果を報告書にまとめる。
先行県では、開業効果がくっきりと出ている。10年12月の東北新幹線八戸―新青森間の開業により、青森県内の主要観光施設(33施設)での10年12月の入り込み客数が前年同月比11・9%増。新幹線駅から離れた五所川原市や三沢市の観光地で入り込みの伸びが目立つ。
11年3月の九州新幹線博多―鹿児島間の開業では、終点の鹿児島中央駅からJRで約1時間を要する指宿市での宿泊客数が増えた。道南だと新駅から八雲、長万部方面への所要時間と同じだ。
九州新幹線を利用すると、鹿児島中央―新大阪間(最短3時間45分)、鹿児島中央―広島間(同2時間34分)の所要時間が従来より大幅に早くなり、鹿児島県内に泊まる客数が関西から1・7倍、中国から2・4倍に増えたとするデータも。これを道新幹線開業に当てはめた場合、3時間45分で移動できる北関東、2時間半の東北から宿泊客がどっと押し寄せることが期待され、開業対策は待ったなしの課題だ。
同振興局は「開業対策の情報を道南全体で共有し、連携して取り組むことが必要。何も手掛けていない自治体に行動を促すきっかけとなれば」(新幹線推進室)としている。
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