語り継ぎ法人化10年 青函連絡船の会
update 2012/4/17 12:22
函館市青函連絡船記念館摩周丸(若松町)を市の指定管理者として、2008年4月から運営するNPO法人語りつぐ青函連絡船の会(木村一郎理事長)はこのほど、法人化10年を迎えた。同会の白井朝子副理事長(61)は「時間の経つのは早かった。これからいよいよ、当初に目指していたことを手掛けたい」と話している。
同会は摩周丸を産業遺産として再評価し、青函連絡船の歴史、文化を後世に伝えようと1999年9月に結成。2000年に函館でイベントを開催し、その後解散する予定だったが、摩周丸が第三セクターから函館市に移管されることになり、運営団体となることを目指して02年、青函連絡船が就航した3月7日にNPO法人化した。
しかし、当初は指定管理者に選ばれず、03年7月からJR函館駅2階で、同会所蔵の書籍を公開する「船と鉄道の図書館・いるか文庫」を運営。白井さんは「全国からの乗降客に摩周丸の存在を知らせ、摩周丸に対する要望を聞けたことは、今に役立っている」と振り返る。
08年、運営団体となった当初は、傷みの激しい船内修復に時間を要した。昨年からようやく目標としていた活動を本格化。洞爺丸事件(54年)について、生き残った各部海技者が執筆し、55年に国鉄青函船舶鉄道管理局が発刊した「台風との斗い」を復刻した。同会の高橋摂事務局長(57)は「青函連絡船に関わった人が亡くなっていく中、私たちができること、来館者や関係者が望んでいることをつなぎ、一つ一つ形にすることができた」と話す。
10周年を記念し、3月7日、東京都内で関係者25人が集まり祝賀会を開いた。最近は白井さんの念願だった、青函連絡船のダイヤ(運行実績)が書かれた用紙(A2判)約1万3000枚をスキャナーで入力し、パソコンで活用できる作業に着手した。また、5月ごろには展示フロアのリニューアルを行う予定。高橋さんは「観光客を呼び込むために、全国的な話題づくりが必要」と話す。
2人は「会はマンパワー不足で、何年先を見据えて活動を展開するのは困難。現在も日々の作業に追われているが、至福の時でもある。私たちの活動と、連絡船の功績を広く伝えられるように頑張りたい」と力を込めている。
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