6月の解禁控え、原油高でイカ漁ピンチ
update 2012/4/11 12:56
国際的な原油価格の高騰を受け、函館市内のイカ釣り漁業者が不安を募らせている。6月のスルメイカ漁解禁を控え、漁船の燃料であるA重油が大幅に値上がりしているためだ。漁業者からは「このままでは漁に出られなくなる」と悲痛な声も。関係者は先行きの見えない原油高騰を案じる日々だ。
函館市漁協(橘忠克組合長)によると、所属するイカ釣り漁船24隻のほとんどがA重油を使う。同漁協が組合員に販売する系統価格は1リットル当たり94・6円(税別、1日現在)で、前年同期より4・5円高い。同漁協は「採算が取れなければ、休漁する可能性もある。イラン情勢の緊迫化から、今後下げる要素がなく、漁業者にとっては死活問題だ」と強調する。燃油高騰の影響で、同漁協を含む全国のイカ釣り漁船は、2008年に一斉休漁した経験があり、今季も同様の対応を選択せざるを得ない場合もある。
同漁協所属のイカ釣り漁船は解禁直後、日本海側の松前小島付近を漁場とする。1リットル当たり100円と仮定すると、函館から松前沖の燃油代は一晩で8〜10万円の計算になる。イカの卸値にもよるが、燃料代が経営に重くのしかかる。
道によると、釧路港のA重油価格(道漁連まとめ、税別)は、月初め取引価格で1月が1リットル当たり82・2円、2月が同85円、3月が同89・9円、4月が同94・4円と上昇。昨年11月から毎月値上がりが続いている。
イカ釣り漁業者は現在、今季の漁に向け船底塗料を塗ったり、船の補修工事を行ったりと、準備を進めている。男性漁業者(43)は「現状では漁に行っても赤字で、商売にならない。何とかならないものか…」とため息をつく。
燃油高騰に備え、国の漁業経営セーフティーネット構築事業(国と漁業者が折半で基金を積み立て、一定基準を超えて上昇した場合に、漁業者に補てん金を支払う仕組み)がある。本年度からは基準を見直し、高止まりした場合でも対応できるようになった。ただ、同漁協24隻のうち、加入は11隻にとどまっている。
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