陣川あさひ町会、Jバス運行開始

update 2012/4/2 12:48


 地域の住民が買い物や通院・通学などに使う函館市陣川町の陣川あさひ町会(西川孝一会長)のコミュニティーバスが1日、運行を始めた。行政の補助金を一切受けずに、地域の町会が生活の足を自ら確保する新たな試みで、初日は無料運行とあって第1便はほぼ満員。全国で縮小傾向にある地域交通の維持に一筋の光となるか、注目される。

 その名も「陣川あさひ町会バス(通称・Jバス)」。地域住民が「オーナー兼利用客」という「全国でも珍しい取り組み」(道運輸局)だ。当面は1年間の試験運行だが、函館バス(高盛町、森健二社長)と運行委託契約を結び、大型バスで平日に1日7便、土日、祝日に3便運行する。

 少子高齢化の進展に伴い、同町会は「地域の足は、地域で確保しよう」と、定期券収入などで財源を賄う自力運行を計画。市や函館バスと昨年から協議を重ね、毎月の委託料60万円から逆算し、月2500円の定期券や、2カ月有効で15枚3000円の回数券を設定した。

 運行前にサンクス陣川店前で行われた出発式には約70人が参加。西川会長は「住民の熱烈な思いがすごいパワーになった。力を合わせて成功させよう」とあいさつ。森社長も「路線バスが苦戦する中、今後の方向性へのヒントとなる画期的な試み」と述べ、最後に関係者でバスの除幕や記念撮影を行った。

 式典では神山小新6年の松本亜夏里さんが考案した「神山サンクス前」の新設バス停のデザインも発表。初便はお年寄りから子どもまで約60人が乗車し、約30`のルートを約50分かけて回った。1周を巡回する人や早速途中のスーパーで乗降する人も。車内では町会役員の女性が定期券や回数券を熱心に売り込んだ。

 乗車した金沢紀子さんは「長年の待望だった大型スーパーに1本で行ける路線。便利になって出かける機会も増えそう」と上機嫌だった。これまでの定期券の販売額は約38万円で、採算ラインの約7割。今後は3カ月ごとに運行するコースや時刻などを検証する。

提供 - 函館新聞社


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