鍋田さん26年かけ有朋高通信制を卒業

update 2012/3/30 12:17


 七飯町在住のフェリー会社員、鍋田仁志さん(48)が、船員として働きながら道立有朋高校(札幌)通信制課程を26年かけて卒業した。家族や同僚、恩師に支えられての卒業で、28日に同校協力校の函館中部高校の小林雄司校長から卒業証書を受けた。鍋田さんは「中学以来の卒業証書。つらいこともあったが、無事に卒業できたのは支えてくれた人たちがいたから。感謝でいっぱいです」と喜びを語る。

 鍋田さんは函館市内の高校を中退後、函館短期大学付設調理師専門学校に入学。卒業後、18歳で津軽海峡フェリーに調理員として就職した。しかし、同期と給料に差があることを知り、「年齢は一緒でも学歴でスタートラインが違う。社会を知った」と振り返る。その後、仕事を続けるが「高校に通いたい」。そんな思いを抱きつつ、4年後の22歳に転機が訪れた。

 知人の情報で同校を知り、1986年に入学。船員という仕事のため、1カ月ほど船の上で生活を送ることも多く、期限内にレポートを提出できなかったり、中部高校でのスクーリング(登校授業日)の時間数が足りなかったりで進級できない状態が続いた。時には勤務後、苫小牧や室蘭から車で函館に向かい、授業を受けたこともある。

 鍋田さんの長男が父より早く高校を卒業することが考えられ、本年度の卒業を目指し必死になったという。厳しい言葉で励ましの手紙をくれた教諭が亡くなったことや、船長の「乗りかかった船なんだからやり遂げろ」との言葉などすべてが支えとなり、政治経済など未履修の単位を取得。晴れて卒業を果たした。

 鍋田さんは「レポートは仕事の合間に必死でやった。いつも勉強する時はバンダナを巻いて気合を入れた」と笑顔で話し、26年間でバンダナも約30枚にもなった。「次の目標は船や新幹線などで体の不自由な人のサポートをする資格を取ること」と笑顔で話している。

提供 - 函館新聞社


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