繊細「夷酋列像」見て
update 2012/3/27 13:38
松前藩の家老で画家の蠣崎波響が描いた「夷酋(いしゅう)列像」を収蔵している仏ブザンソン市にあるブザンソン市立美術館のエマニュエル・ギゴン館長が26日、函館市を訪れた。夷酋列像は7月に道立函館美術館で公開されることが決まっており、その下見と事前協議のための来日で、29日まで滞在する。ギゴン館長は「たくさんの人に見てもらい、絵の素晴らしさを感じてほしい」と話した。
夷酋列像は、蠣崎波響(1764―1826)の代表作で、アイヌ民族の指導者12人を描いたもの。作品は複数組描かれたとされ、函館市立中央図書館に2点、もう一組のうち11点がブザンソン美術館が所蔵されている。函館への里帰りは1991年以来、21年ぶり3度目となる。
前田一男町長らが昨年10月に渡仏し、ブザンソン市と地域連携協定を締結したことがきっかけで今回の里帰りが実現した。27日にギゴン館長が道立美術館で展示場所や方法を協議するほか、松前町の各施設を視察し、同町での展示が可能かどうかを判断する。
函館に到着したギゴン館長は、函館で展示することについて「不思議な縁からブザンソン美術館で収蔵しているが、みなさんにまた見てもらえることは非常にうれしい。日仏交流の点からも意味がある」と話した。また、「線の繊細さを感じる」と美術的な価値を評価。絵の保管の観点から「ブザンソン美術館にあるのは、絵にとっても幸運だったのでは」と語った。
同町での展示の可能性について触れ、「警備体制や管理上、絵画は原則、美術館にしか貸し出していない」と前置きしたうえで、「前田町長から展示に向けた情熱を感じている。可能性を探りたい」とし、前向きに検討する考えを示した。同行した前田町長は「一度、絵を松前の空気に触れさせたい」と話していた。
函館での展覧会は7月25日から9月9日までを予定している。
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