桧山南部4町 震災がれき受け入れへ
update 2012/3/23 12:27
江差、上ノ国、厚沢部、乙部の桧山南部4町は22日、東日本大震災で発生した災害がれきの広域的処理問題について、低レベル放射性廃棄物には該当しないことを前提に、4町と民間企業が連携して、3年間で計20万トンを受け入れる方針を固めた。近く各町の住民や議会に方針を伝え、理解と協力を求める方針だ。がれき処理問題では、全国的に自治体を中心に受け入れに向けた検討を進めているが、官民一体となった受け入れ体制を取るのは極めて異例。今後は、同様の取り組みが全道の市町村にも波及することを期待している。
同日、江差町役場で開かれた、南部桧山衛生処理組合(組合長・浜谷一治江差町長)の定例会後、4町の首長と桧山振興局幹部らが協議の場を持った。桧山町村会長の寺島光一郎乙部町長は「東北と北海道は一つだ。一番困っているときに、いかに助けになれるかが重要だ」と述べ、がれき処理問題をめぐり、桧山管内7町として、全面的な支援に乗り出す考えを示した。
受け入れ可能とした20万トンのうち、桧山南部4町と八雲町でつくる同組合の最終処分場では、3年間で最大3000トンの埋め立て処理が可能という。現在のペースでは、約7年間の使用が可能だが、通常の処理量に加え、がれきを受け入れた場合、5〜6年程度で満杯になることが見込まれるため、次期処分場の設置に向けた事業計画の検討を前倒して着手する。
このため、20万トン近い埋め立て能力がある民間の産業廃棄物処理業者にも協力を要請。4町エリアで受け入れが可能な産廃施設は、厚沢部町3カ所、乙部町1カ所。打診に対していずれも協力の姿勢を示しているという。
受け入れるがれきは、低レベル放射性廃棄物として規制を受けない不燃物を対象とする。道が示した独自基準と同じ、放射性セシウム濃度が、1キロ当たり100ベクレル以下の廃棄物に限定する。放射性物質によるがれきの汚染を懸念する声が全国で高まっていることに、浜谷江差町長は「住民代表により被災地の視察を行い、現場で放射能の測定を実施してもらうことで、受け入れるがれきの安全性を確認してもらうことも検討したい」とし、住民の合意形成に向けたプロセスを重視する考えを示した。
がれきの運搬は、コストや効率を考慮して、鉄道やトラックなど、陸路を使ったコンテナではなく、砂利運搬船などの大型船による海上輸送を前提とし、東北の被災地から、管内の港に直接陸揚げして処分場に搬入することを検討。復路では、被災地で不足している砂利などの輸送を行うことで、効率的な輸送体制の確立を目指す。
今後は、既に新村卓実町長が、がれきの受け入れを表明している奥尻町や、今金・せたなの桧山北部2町とも協議を進め、桧山管内全体での受け入れ体制を整え、被災地の復旧・復興の障害となっている、がれき処理問題の早期解決を後押ししたい考えだ。
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