従業員が入居者虐待 市内介護施設

update 2012/3/23 12:26


 函館市は21日、市内の養介護施設で、従業員による入居者への虐待があったことを明らかにした。市が把握している中で、従業員による虐待事例は初めて。虐待は半年以上にわたって行われ、虐待を受けていた入居者5人の家族らが被害届を出さなかったため刑事告発に至らなかったものの、増加する高齢者虐待の深刻さが改めて浮き彫りとなった。

 同日に開かれた第2回市要援護高齢者対策ネットワーク協議会(川越英雄会長)で報告した。 市によると、虐待のあった施設は市内のグループホーム。40代の女性従業員2人が要介護認定を受けている男女5人の入居者に対し、後頭部を平手打ちし、部屋の入り口に自転車のチェーンロックをかけたほか、「死ね」と言った。土下座の強要もあった。

 虐待は従業員による内部告発で発覚し、施設側が昨年10月に市へ報告。市は虐待をした従業員に聞き取り調査をし、同法人に対して改善勧告を行った。同施設ではその後、改善が図られているという。従業員2人は昨年11月に解雇された。

 また市は、昨秋ごろ市内の介護サービス事業所2カ所で、利用者の金銭を従業員が着服していたことも明らかにした。親しくしていた利用者の金銭を無断で使っていたほか、預かっていた通帳と印鑑を使用し、金融機関から金銭を引き出していた。発覚後、いずれも利用者に全額返済され、示談が成立したため刑事告発はしなかった。

 介護保険施設は市が認可権限を持っており、市福祉部の川越部長は「非常に残念な出来事。各関係施設に周知し、二度とこのようなことが起こらないよう対策を徹底していきたい」としている。

 市によると、高齢者虐待のうち、施設以外での養護者による事例は昨年度31件で、前年度と比べ6件増えている。内容は心理的虐待が19件と最も多く、次いで身体的虐待が13件。被害を受けた高齢者のうち、半分以上が要介護認定を受けているという。

 市は虐待をする原因として、@介護負担などの精神的ストレスA経済的依存B家族関係の悪さ―などを挙げている。

提供 - 函館新聞社


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