函館薬業組合、罹災復興史を復刻
update 2012/3/20 12:32
函館薬業組合(三上総一組合長)はこのほど、1934(昭和9)年3月21日の函館大火直後、組合員の被災状況や全国各地からの援助の記録をまとめた「函館薬業組合罹(り)災復興史」の復刻版を発行した。原本は市内に1冊しか現存せず、所有者から借りて復刻した。三上組合長は「非常事態にありながら迅速、果敢に行動し、詳細な記録を残した先人の功績を、もう一度後世に残すべく復刻した」と話している。
同復興史は、大火直後の4月1日に組合員4人で組織された復興委員会が、全国各地から寄せられた援助への感謝の思いと、大火を史実として後世に残そうと編集。改行 2部構成で、前篇が火災発生時の状況や被災した組合員の回顧録を記載。後編が義援金や支援物資を送った同業団体、製薬会社などの一覧を掲載した謝恩録としている。
大火2日後の23日には「東京薬種貿易組合」など4団体に電報で援助を要請したことや、これをきっかけに全国各地から次々と義援金や薬品などの支援物資が届けられ、被災した組合員に配布されたことなどが記されている。
復興史は当時の組合員に配布されたが、現在は復興委員の一人、松谷利喜智さん(1897―1972年)の長男勇さん(82)が1冊所有しているのみという。
昨年3月の東日本大震災以降、災害時の対策が取りざたされたのを契機に、復興史の複写を資料として持っていた三上組合長が「残しておくことが必要」と判断。他の役員にも相談し、組合として市内の印刷会社に依頼し、復刻版を発行した。
三上組合長(72)は「災害への対応がいかに素早かったかが読み取れ、学ぶべきものがある。この事実を忘れず、後世に伝えていくことが大事だと思った」と話す。勇さんは「組合が復刻に一生懸命取り組んでいただき恐縮している。交通事情やネットワークが今のように発達していない中で行った復興の足跡は価値があるのでは」と話す。
復刻版は1000部を発行し、全国各地の薬業組合などに配布する予定。希望者には有料(350円)で頒布する。A4判。33ページ。
問い合わせは三上組合長TEL0138・23・0018(三上参省堂薬局)。
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