空き家解消へ 中堅所得世帯向けの市営住宅、初の家賃値下げ
update 2012/3/19 12:58
函館市の中堅所得世帯向けの市営住宅「特定公共賃貸住宅(特公賃)」の苦戦が続いている。定住促進に向けて西部地区に2棟計62戸があるが、入居率は80%にとどまり、中には8年以上空き家の部屋も。低所得者向けに人気の一般市営住宅に比べ認知度も低く、市は4月1日から、初めての家賃の引き下げに踏み切り、空き家解消を目指す。
市内の特公賃は4カ所。今回値下げするのは「弥生団地」(弥生町5)と「豊川団地」(豊川町3)の2カ所だ。人口減少時代を迎え、市が西部地区の定住促進を図る狙いで建設し、どちらも一般市営住宅に比べて居住面積が広いのが特徴だ。
弥生は元町公園や旧函館区公会堂から徒歩5分。港が見える閑静な住宅街に立地する。市が1997年に5億8000万円かけて3階建て30戸を建設。一方、豊川は市電の十字街電停から徒歩5分で、96年に6億3000万円かけて建てた6階建て32戸のマンションタイプとなる。
入居するには世帯の年間総収入から給与所得控除などの控除後の総所得額から割り出した月収が「15万8000円〜48万7000円以下」が対象。2団地では月収や家賃に応じて現行では1万1500円〜2万5800円まで2段階の減額補助がある。
一方、弥生では2010年度から30戸のうち9戸が空き家のまま。豊川も09年度5戸、10年度2戸、11年度3戸と慢性的に空きがある。どちらも隔月で募集はしているが、「民間住宅との兼ね合いもあり、これまで積極的なPRが不足していた」(市住宅課)。
2団地の家賃未収入は年間約1000万円に上る。周辺の家賃相場も下がる中、市は「安くしてでも満室にしたい」(同)と、建設以来初の値下げを決めた。現状では新家賃で年間約600万円の収入減となるが、満室になれば少なくとも300万円以上の収入増が見込めるという。
また、これまで減額幅は月収32万2000円を区切りに2段階だったが、4月からは「25万9000円以下」「25万9000円超35万円以下」「35万円超43万5000円以下」の3段階に傾斜した下げ幅を採用。平均家賃は約7万9000円と、現行より1万円ほど下がる。2カ月に1回だった募集も随時先着順とし、従前はできなかった入居前の内覧にも対応する。
弥生は2LDK(約70平方b)と3LDK(約85平方b)があり、新家賃は所得に応じて5万100円から。豊川は2LDK(約66平方b)〜4LDK(約97平方b)まであり、同4万5500円から。ともに2LDKは単身でも入居でき、駐車場使用料は月額3000円。
また、入居に際し、40歳以下で結婚1年以内の夫婦であれば、市の家賃補助事業(月額上限1〜3年目1万5000円、4年目1万円、5年目5000円)も併用できる。同課は「民間と連動して西部地区への定住化を促進し、活性化につなげたい」としている。申し込み希望者は市住宅都市施設公社TEL0138-40-3602。
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