コンブの若芽 販売好調

update 2012/3/17 12:57


 函館タナベ食品(函館市桔梗5、田辺元久社長)が製造するコンブの加工食品「昆布の若芽」の販売が好調だ。成長しきる前のコンブをゆでて塩蔵処理した商品で、ワカメのような食感とコンブ独特のうま味が受けている。地元漁業者にとっては冬場の貴重な収入源ともなっていることから、同社は今後も徐々に製造量を増やす計画。

 同社は2004年設立の水産加工会社で、モンドセレクションを連続受賞している「いかしゅうまい」や辛子明太子、タラコなどで知られている。10年度の売上高は約10億1700万円。

 昆布の若芽は3年前、田辺社長が偶然、マコンブを養殖する過程で発生する間引きコンブを手に入れ、商品化につながった。通常は漁業者の家庭などで消費されるため市場に出回ることはないが、同社はワカメのようなやわらかい食感とコンブ独特のうま味に着目。戸井漁協に協力を仰いで特別に生産してもらい、商品化にこぎつけた。

 主要な販売手段はテレビショッピングや全国の百貨店で開催する物産展など。タレを付けてそのまま食べたり、みそ汁にするなどおいしさをじかに伝える方法で順調に売り上げを伸ばし、11年の製造量は45dにまで増加。生産する漁業者も増えており、12年は50d超を計画する。

 原材料は繁忙期以外の2月下旬に収穫するため、マコンブ養殖の漁業者にとっては閑散期の貴重な収入源にもつながっている。生産する戸井漁協の小安支所は「冬の収入源として助かっている」と語る。マコンブは通常、乾燥や折りたたみなどの作業が伴うが、若芽の場合はほぼそのまま出荷できるため労力が少ない利点もある。養殖用ロープも既存のスペースを活用して張るという。

 春には新たに市内の土産物店での取り扱いも予定している。同社函館本社工場の入部太郎一工場長は「漁業者のさらなる協力を得て今後も製造量を増やしたい」とする。

提供 - 函館新聞社


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