大震災1年厳しい観光業 誘客必死 

update 2012/3/11 13:03


 死者・行方不明者1万9000人以上を出した東日本大震災から、11日で1年―。函館・道南の経済を支える観光業は、函館朝市や観光地への直接被害、風評や自粛の間接被害の両面から、試練が続いている。昨年夏から徐々に客足が戻りつつあったが、オフシーズンの1月以降はさらに減少。厳しい現実と向き合いながら、関係者は「今年こそは」と祈る気持ちで夏に期待し、耐える営業を続けている。

 陸路での観光客輸送を担うJR。津軽海峡線(中小国―木古内間)の実績は、震災後の昨年3〜8月は前年同月比55〜10%減の幅で推移。東北新幹線のダイヤが通常に戻った同秋以降は企画商品の効果も手伝い、同9、10、12月は同3〜20%増加した。しかしことしに入って状況は一変。1月は同21%減、2月も同17%減と減少が続いており、JR北海道函館支社は「震災の影響はいまだ少なからずある」と分析。春以降は東京スカイツリーや東北のサクラを取り入れたツアー商品で客足を取り戻したい考えだ。

 函館空港の乗降客数は、昨年3〜6月は前年比20〜30%減と大きく減らした。特に大韓航空の定期便が運休となった国際線の影響が大きかったが、これも昨年12月には以前と同じ態勢で再開。1月には同9%減にまで差を詰めた。函館市港湾空港部は「国内線を含めると、震災前と完全に同等ではないが態勢は戻った」とし、やっと1年前と同じ地点に立ったとの見方。「客も徐々に増えており、このまま戻ってくれれば」と願う。

 しかし観光客の出足は輸送実績以上に鈍く映る。津波被害を受けた函館朝市では、昨年夏には一時客の戻りを実感した時期もあったが、現在は売り上げにつながりにくい中国人や学生の卒業旅行客を中心に散見される程度という。函館朝市協同組合連合会の井上敏広理事長は、「客足は例年の今時期より3〜4割は少ない」と苦悩をのぞかせる。ただ「今は例年少ない時期なので、夏に入ってくれれば…」とも。

 観光客が宿泊する湯の川温泉でも状況は同様だ。函館湯の川温泉旅館協同組合は震災後、道内客を呼び込むキャンペーンを行うなど、必死の努力を続けている。同組合の金道太朗理事長は、温泉街全体の2月の宿泊は前年同月より数割の幅で落ちていると実感。特に関東や関西、東北からの客が大きく落ちているというが、「夏以降の各種キャンペーンやツアーなどに期待し、明るさを失わずに営業を続けていく」と前を向く。

提供 - 函館新聞社


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