避難所 見えた課題 

update 2012/3/11 13:03


 東日本大震災から1年。函館市では沿岸部を中心に30カ所を津波避難所として指定しているほか、中心部のホテル4カ所を津波避難ビルとして登録している。避難所の大半は学校だが、耐震化が完全に済んでいないなどの課題を抱えている。市は学校の耐震診断を急ぐとともに、新年度に道が示す新たな浸水想定区域を踏まえ、津波避難ビルの増加など各種防災対策の検討を進めている。

 震災当日、大津波警報の発令に伴い市は沿岸部の75町、3万713人を対象に避難指示を発令。しかし、午後7時半のピーク時に避難所に身を寄せたのは1910人(6.2%)にとどまった。

 津波避難所全体では約3万8000人(市役所、企業局を除く)が収容可能だが、市役所も含めて13カ所が耐震化されていないのが現状。2008年度から本格的に進めてきた市内公立学校の耐震診断調査は、当初予定していた16年度から前倒しして新年度までに完了させる。

 一方で、住民が主に避難する体育館に暖房設備がなく、中にはポータブルストーブで対応する学校もある。このため市教委施設課は「屋内運動場暖房設備整備事業計画」を定め、2018年度までにすべての学校に暖房設備を取り付ける目標を掲げる。同課は「ポータブルストーブだけでは避難所としての役割を十分に果たせない。早急に整備できるよう検討していきたい」と話す。

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  一方、JR函館駅前やベイエリアで避難者を受け入れるために指定している津波避難ビルには多くの観光客らが身を寄せ、「土地勘のない観光客のことを考えれば有効な手段だった」(市総務部)。しかし、避難場所でありながら各施設とも浸水被害を受けており、各ホテルとも土のうの増強や地震・津波を想定した避難訓練の実施などの対策を練っている。

 宿泊客や避難者、JRの利用客ら約1200人が押し寄せたロワジールホテル函館(若松町14)は「地下駐車場の浸水を防ぐため優先的に土のうを積んだ。お客さんの車が1台も被害がなかったのが救い」と話すとともに「外からの人が圧倒的に多かった。駅周辺が混みあう7、8月の観光シーズンの対策が必要」と指摘する。

 また、函館国際ホテル(大手町5)は午後7時ごろの第2波で、津波が落ち着いたと判断した一部の住民が帰宅。その後午後11時過ぎに最大の第3波が押し寄せたことで、「あらためて避難してきた人もいて、どの時点で帰宅を許すかどうかの判断が難しい」。同施設は本館2階の宴会場が一時避難場所となっており、「もし10bの津波が来たらやられてしまう。大津波が来た時に高層階へと上がっていく訓練を計画している」と話している。

 市総務部は「各ホテルとも浸水域に入っており、施設損傷のリスクもある。応急措置として有効な手段だけに、避難ビルの数を増やすことも検討している」としている。

提供 - 函館新聞社


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