【震災1年】病院でも災害対策見直し

update 2012/3/8 12:09


 東北3県の沿岸地域を中心に、震災被災地の地域医療は津波で壊滅的な打撃を受け、混乱を極めた。震災を教訓に函館の医療現場でも院内の災害対策マニュアルを見直したり、医薬品や食料の備蓄量を増やす動きが出ている。想定外の事態にどう即応的に対処していくか模索している。

 函館市医師会(伊藤丈雄会長)は2009年から、独自で災害対策のマニュアルづくりを進めている。もともと市の防災対策に準じた対応で申し合わせていたのを、医療機関の主体的な対策が必要と判断し、伊藤会長や災害担当の理事、救急医療の専門医ら10人ほどで案を練っている。

 大筋の内容が固まったころ、大震災が発生し、新たな課題が浮き彫りとなった。津波被害を想定した対策や、病院間・医師間の連携、行政機能が停止した時の対応などで、「マニュアルができたからといって万全とはいえないが、常日ごろから備えていかないといざという時に動けない」と伊藤会長。「最初の数時間が勝負と認識している。あらゆる角度から検討し、即応的に動ける体制を築いていきたい」と話す。

 各病院も対策を進める。海岸部に近い病院の一つ、函館渡辺病院(湯川町1、増岡昭生院長)は震災直後の3月14日、施設課、用度課の職員を中心に院内の災害対策にかかわる見直しに着手した。備蓄用の医薬品を1週間分から10日分に増やし、災害時のマニュアルに津波を想定した項目を追加。

 5月には、通常年2回実施している火災訓練とは別に、地震と津波を想定した避難訓練を行った。患者の迅速な避難誘導と職員間の連携を確認した。「ライフラインが寸断されたケースに対応した訓練、他の機関と連携した訓練が今後必要」(総務課)と課題を挙げた。

 道南の災害拠点病院でもある市立函館病院(港町1、木村純院長)でも震災後、院内の現状を確認。職員によるワーキンググループを9月に立ち上げ、課題を整理した。1月に管理職を中心とした防火防災管理委員会を発足。今後、ワーキンググループの提言を受けてマニュアルの整備や備蓄品の増強、自衛消防の強化などのほか、地域に向けた防災教育なども行う考え。庶務課は「定期的に検証をしながらよりよい体制を築きたい」と話す。

 国立病院機構函館病院(川原町18、伊藤一輔院長)はマニュアルの全面的な見直しだけでなく、安全対策室を中心に職員一人ひとりの防災意識向上に努める。岩代望診療部長は「防災意識が高くなければいくら良いマニュアルを作っても機能しない。職場ごとの取り組みを推進したい」としている。

提供 - 函館新聞社


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